舌下免疫療法って聞いたことがあるけどどんなものなのかな?
副作用は?
子供にも安心して使えるの?
花粉症シーズン突入!
目のかゆみや鼻水がつらくなる時期がやってきました。
最近は大人に限らず子供でも花粉症っていう人は多いですが、舌下免疫療法はご存知でしょうか?
今回はこんな舌下免疫療法についての疑問についてまとめました。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法とはアレルギーの原因物質を舌の下側に入れて、少しずつ体を慣らし、アレルギーの原因物質に対する免疫をつけるという治療法です。
現在使用可能な薬は
- シダキュアスギ花粉舌下錠
- シダトレンスギ花粉舌下液
- ミティキュアダニ舌下錠
- アシテアダニ舌下錠
の4種類です。
このうちシダトレンは12歳以上でしか使えませんが、他の薬は5歳以上で使用できます。
舌下錠というと聞きなれないかもしれませんが、飲むのではなく舌の下側に入れることによって効果を発揮する薬です。
飲むよりも早く薬が吸収されるという特徴があります
舌下免疫療法の副作用は?
舌下免疫療法と聞いて、何だか怖い…と感じる方もいるのでは?
舌下免疫療法にはどのような副作用があるのでしょうか?
最も多い副作用は口の中の浮腫、かゆみ、不快感、喉の刺激感、不快感、目のかゆみなどです。
いわゆる局所の副作用ですね。
全身性の副作用であるアナフィラキシーの可能性はありますが、これまでの臨床試験や市販後調査の結果をみると、ごく稀な副作用であると考えてよいでしょう。
舌下免疫療法はこうしたアナフィラキシーを未然に防ぐという目的で、事前に講習会ないしe-learningの受講&試験合格等の条件を満たした医師しか処方ができないシステムになっていますので、私はどちらかというときちんとモニターしてもらえて安心という印象を受けます。
念のため服用後30分間は注意深く様子を見るということになっていますので、特に飲み始めは処方された病院で待機しておくように指示を受ける人も多いと思います。
舌下免疫療法は子供にも安心なの?
子供への安全性についても気になるところだと思います。
舌下免疫療法は子供も大人も同じ量で投与します。
これは免疫療法に使用するアレルゲンは体の中で代謝されるという過程がないためです。
では、大人と同じ量で副作用が増えないのでしょうか?
日本では5歳以上の小児に使用できるようになったのが2018年ですので、まだ日は浅いですが、国内で行われたいくつかの報告によると子供だからといって副作用が高まるということはないようです。
ちなみに皮下注射法の場合のアナフィラキシーの頻度についてデータを参考にすると、100万回に1 回の頻度で重篤な全身反応が生じ、2,300万回に1 回の頻度で死亡例が報告されています。(日本アレルギー学会ガイドライン2014)
死亡と言われると怖い感じがしますが、宝くじ1等が当たるよりも低い確率ですので過剰に心配する必要はありません。
もちろん効果についても成人と遜色はありません。
欧州のガイドライン(EAACIガイドライン)では、子供への舌下免疫療法は短期間でも長期間でも有効性が証明されていて、推奨レベルも最高レベルに設定されています。
非常に有効性と安全性のバランスに優れた治療ということですね。
日本でもこれからエビデンスが蓄積されていくものと思います。
舌下免疫療法を続けるうえでの注意点
例えばシダキュアについては、最初の1週間は2000JAU錠から始め、2週目以降~は5000JAU単位に増量します。
この量で3年以上継続するわけですが、長期になるということでいかに長く続けられるかがポイントになります。
子供が治療を続けるにあたって最も大事なのは、親御さんの声かけだろうと思います。
治療開始時の副作用の様子をみたいということで夏休みに開始されるのも良いタイミングかもしれませんね。
また、子供では運動をきっかけにした喘息が副作用として出ることがあります。
舌下投与前と投与後2時間以内に激しい運動は控えるようにしないといけません。
まとめ
子供の舌下免疫療法の副作用についてまとめました。
特に子供だからといって心配な要素はない治療法と理解して良さそうです。
子供のうちに発症した花粉症は成人になったあとも治癒せず長引く傾向があり、長期で苦しむことになると予想されます。
舌下免疫治療の適応となるのであれば、症状軽減のため早いうちに試してみるのが効果的と言われています。
まずは一度耳鼻科や小児科医師に相談してみてはいかがでしょうか。
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