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【新薬リフヌア®錠】調べてみたら咳止めはほぼプラセボだった?

リフヌア新薬関連
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咳嗽に対する新薬リフヌア®が発売されました。

咳止めと言えば、デキストロメトルファンやコデイン、チペピジンヒベンズ酸が主流でしたので、作用機序の新しい薬が出たというのは選択肢が広がり、喜ばしいことです。

今回、リフヌア®の添付文書と審査報告書を眺めながら、薬剤師として興味深い点があったので記事にしてみました。

【この記事を書いた人】

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。

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リフヌア®はこんな薬

リフヌア®は

  • この領域では新機序の選択的P2X3受容体拮抗薬
  • 治療抵抗性の慢性咳嗽、原因が説明できない慢性咳嗽と診断された患者に使用可能な薬
  • RMP(医薬品リスク管理計画)で特定されたリスクは味覚障害

といった特徴があります。

慢性咳嗽の有病率は2%程度ですが、治療中の患者さんの20%は治療抵抗性と言われているため、こういった患者さんへの恩恵が期待されています。

リフヌア®の添付文書にこんなグラフが‥

新機序のリフヌア®がどのくらいの効果があるのかな?と思って添付文書を見てみました。

私が気になったのは、添付文書の項目17.1.1 国際共同第Ⅲ相試験(027試験)の結果を示したグラフ。

リフヌア®添付文書より

ん?

プラセボでもかなり咳減ってない?

思い込みで咳が減ることってあるのかな?

という疑問が。

(インタビューフォームに記載されている)試験の登録基準をみると、以下のようにスクリーニングされていました。

咳嗽が 1 年以上継続し、かつ難治性(治療抵抗性又は原因不明)の慢性咳嗽と診断された者
‐治療抵抗性の慢性咳嗽:咳嗽に関連すると考えられる原因疾患[胃食道逆流症(GERD)、喘息、上気道咳嗽症候群等]が臨床評価から示唆され、ACCP のガイドラインに基づき適切な診断のための検査と治療を受けているにもかかわらず咳嗽が継続する被験者と定義した。
‐原因不明の慢性咳嗽:ACCP のガイドラインに基づいて咳嗽に関する臨床評価を行った結果、関連すると考えられる原因疾患が不明な被験者と定義した。

ガチガチにスクリーニングされているはずなのに、プラセボ効果で咳が減るってどういうことなのかな?と疑問に思ったわけです。

ちなみに海外試験も同じような結果になってました。

なので、プラセボが咳嗽に効くというのはある程度再現性のある結果なのだろうと予想されます。

咳嗽治療薬はプラセボ効果が高い

調べてみると、咳嗽治療薬は総じてプラセボ効果が高い領域ということが分かりました。

鎮咳作用をもたらす要因として、味、フレーバー、粘度、色が影響していること、思い込みによる影響も大きいことが報告されています。(m3.com 2022年2月14日の記事:咳嗽症状に対するプラセボ効果‐多因子性モデルに基づく鎮咳薬の考え方)

実際、リフヌア®に関する中医協の資料中にも

○委員
そうですね。
ただ、プラセボがこれだけ効く中で有意差をつけるのはかなり大変なのだろうと思います。産みの苦しみでもって何とか世に出てきて、臨床現場としては使ってみたい薬ではありますが、何せプラセボの効果との差が小さいので、位置づけに関しての評価は今後を見ないと分からないという気がします。

中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和3年度第9回、第10回

という記載があり、咳嗽治療薬はプラセボ効果が大きいことがある意味共通認識になっているようですね。

まとめ

難治性の慢性咳嗽という新しい領域に対して風穴をあけたリフヌア®。

調べてみると、鎮咳薬にはかなりのプラセボ効果があるということが分かりました。

それを差し引いても、プラセボと差がついて承認となったわけですので、あれこれケチをつけるつもりはありませんが、こういった背景があっての承認、というのは勉強になりました。

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