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ベクルリー®(レムデシビル)は皮下投与できる?

レムデシビル皮下注感染症
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新型コロナが流行してから、さまざまな治療薬が注目されてきました。

中には消えていった薬も数えきれず‥

【関連記事】【コロナ治療薬の光と影】消えていった薬、話題の新薬

そのなかでもベクルリー®(レムデシビル)は最も息の長いコロナ治療薬と言えるでしょう。

COVID-19の治療のKey Drugとなったベクルリー®ですが、高齢の入院患者さんを見ていると、しばしばルート確保が困難で投与したくてもできない場合があります。

そんな時、皮下投与が可能だったら・・と思うことがたびたびあったので、今回はベクルリー®の皮下投与についてまとめます。

※注意:皮下投与については患者さんやご家族の同意が必要です。また、実施可能なことと臨床効果が保証されていることとは別ですのでご了承ください。

【この記事を書いた人】

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。

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そもそもどんな薬が皮下投与可能?

では、そもそもどんな薬であれば皮下投与可能なのでしょうか?

コロナ患者さんに汎用される薬剤を挙げてみました。

※皮下投与について参考にした書籍はコチラ

輸液

まず輸液から。

基本的に皮下輸液が可能な条件は

  • 浸透圧が1程度
  • pH 4-7程度
  • 滴定酸度(酸を中和するのに必要な塩基の量で決定される酸度)が小さい

を満たすことです。

一般的に生理食塩液、5%ブドウ糖液、1号液、3号液、リンゲル液はよく使用されています。

一方、ブドウ糖濃度が高い製剤やアミノ酸含有量の多い製剤は不適なので、10%ブドウ糖、末梢静脈栄養輸液(ビーフリード®など)、高カロリー輸液は使用できません。

脂肪乳剤(イントラリポス®など)も使用できません。

このあたりは感覚的に分かる方は多いのではないでしょうか。

抗菌薬

コロナに細菌感染症を合併するケースもあり、抗菌薬はしばしば使用される機会があります。

抗菌薬の皮下投与に関する報告は多く、使用可能な抗菌薬はざっとこれぐらい。

  • アンピシリン
  • ペニシリンG
  • ピペラシリン
  • セフトリアキソン
  • セファゾリン
  • セフタジジム
  • セフェピム
  • イミペネム/シラスタチン
  • メロペネム
  • テイコプラニン

逆に避けた方がよい抗菌薬としては、キノロン系注射薬、エリスロマイシン注射液、抗真菌薬、抗ウイルス薬が挙げられています。

皮下投与が禁忌もしくはデータがないためです。

ステロイド

COVID-19 治療薬としてはデキサメタゾンが使用されます。

デキサメタゾンは緩和ケア領域で頻繁に使用されるようです。

皮下投与に支障ないと考えて良いでしょう。

ベクルリー®は皮下投与できるのか?

ベクルリー®については残念ながら点滴静注しか保険適応がありません

皮下投与を行った際の薬物動態も不明ですので、皮下投与はできないという回答になると思います。

ちなみに、添付文書の副作用の項目には、皮膚および皮下組織障害に関して「発疹、搔痒症、斑状丘疹、丘疹状皮疹」と記載されていました。

ただし、皮下組織障害についての報告はないので、副作用の面でアウトなわけではないように思います。

調べてみると、海外では自己注射用のレムデシビル持続皮下注の開発がされているようです。

Self-injectable extended release formulation of Remdesivir (SelfExRem): A potential formulation alternative for COVID-19 treatment – PubMed (nih.gov)

皮下注製剤は対面接触の機会を減らす、入院期間を最小限にできる、投薬頻度を減らす、医療費軽減などのメリットがあると記載されていますが、それに加えて血管確保が困難な患者さんへの対応が楽になるので、現場としては大いに開発に期待したいです。

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