妊活中なんだけどコロナワクチンって打った方がいいのかな?
良く分からないワクチンを妻に打たせるのは心配
コロナワクチンの話題が盛り上がってます。
妊娠を希望する女性は特に安全性や赤ちゃんへの影響が気になりますよね。
当初は安全性についてはっきり分かっていない部分もありましたが、
世界中の人々に接種してきたデータを集めた結果
妊娠を希望する場合でもコロナワクチンは安全、ということが分かっています。
経緯について解説します。
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
妊娠希望とコロナワクチン
日本ではファイザー/ビオンテック社、モデルナ社の2つのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンが流通することになっています。
ここでは主にmRNAワクチンについて話を進めますが、そもそも妊婦は臨床試験の対象に入っていませんでした。
しかし、臨床試験の参加者の一部に妊娠を知らずにワクチンを接種した人がいたため、結果的にファイザー社のワクチンでは24人、モデルナ社のワクチンでは12人が妊娠していた、ということが分かったんです。
妊婦とコロナワクチンについてはデータが限られている状況で、各団体が出した妊婦とコロナワクチンについての見解をご紹介します。
厚生労働省の情報
ソースはこちら。新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について(2020年11月9日)
・妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとなるかについて、徐々に明らかになってきている。
・一方で、現在行われているワクチンの臨床試験において、妊婦は対象から除外されていることから、妊婦に対する安全性・有効性は現時点では明らかでない
厚生労働省は、2020年11月時点で妊婦に関するワクチンの接種は安全性・有効性が明らかでないとしています。
そのため日本で実施するワクチン優先接種対象者にも妊婦は含まれていませんでした。
もちろん妊娠を希望する女性についての言及も特にありませんでした。
Children’s Hospital of Philadelphiaの情報
ソースはこちら。Children’s Hospital of Philadelphia(米国のフィラデルフィア小児病院)のVaccine Education Centerが提供しているサイトに掲載された資料の日本語訳版です。
あくまでも米国内で用いることを前提に作成された資料ですが
要点としては
・医療従事者や特定の健康状態の女性など、一部の妊婦はCOVID-19のリスクが高くなる。
・妊娠中の女性がCOVID-19に感染した場合、妊娠していない女性と比較して合併症を発症するリスクが高くなる。
・妊婦がワクチン接種後発熱した場合は赤ちゃんに負担がかかる可能性があるため、アセトアミノフェンを服用する
・妊娠を希望する女性はワクチン接種が可能。初回接種後に妊娠が分かっても2回目接種は可能。
・授乳中の女性でもmRNAワクチン接種は可能。
米国国内向けの資料ではありますが、妊娠を希望する女性や妊婦へのワクチン接種は可能と記載されています。
日本生殖医学会の情報
ソースはこちら。
米国生殖医学会(ASRM)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)タスクフォースが発信した情報を日本語でまとめています。
要点は
・コロナウイルスに感染することによって、精子や卵子、あるいは胚が新型コロナウイルスに感染する可能性は非常に低いということが既存の科学的根拠から示唆されてはいるものの、データはまだ不十分。
・妊婦がコロナウイルスに感染した場合、集中治療が必要となる可能性が潜在的に高いことがメタ解析で報告されている。
・妊娠に伴う合併症、高齢、高BMIはコロナウイルス感染重症化のリスク因子である。早産の割合もコロナウイルス感染症に罹患している妊婦のほうが高い。
・妊娠の予定がある、現在妊娠中である、または授乳中である人にワクチン接種を差し控えさせることを、タスクフォースは推奨しない
・mRNAワクチンは生きたウイルスを含まないため、不妊、妊娠前期または中期の流産、死産、そして先天異常のリスクを高めることはないと考えられている。
・FDA(米国食品医薬品局)はファイザーのワクチン承認に当たって、妊娠への影響についての市販後観察研究を実施することを条件に、妊婦や授乳中の女性に対するワクチン接種を認めている
データは限られているとはいえ、妊婦がコロナウイルス感染症にかかった際のリスクを考えると、ワクチン接種はむしろしたほうが良いというスタンスです。
また、妊娠の予定がある人であってもワクチン接種を控える必要はないという見解です。
日本産婦人科感染症学会の見解
ソースはこちら。
要点としては
・現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していない
・妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない
・器官形成期(妊娠 12 週まで)は、ワクチン接種を避ける
・感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している⽅は、ワクチン接種を考慮する
・妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する
・妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
WHOの見解
WHO「妊産婦は、新型コロナワクチンを接種してはならない」というタイトルの記事が出ました。(yahoo news)
タイトルで如何にも危険!というような印象を受けますが、原文を読むと少し違う印象です。
ソースはこちら。
要点としては
・妊娠中の女性は、妊娠していない出産可能年齢の女性と比較して、重度のCOVID-19のリスクが高く、早産のリスクの増加に関連しています。
・妊娠中のワクチンの有効性やリスクを評価するには不十分
・ mRNA-1273ワクチンは生ウイルスワクチンではなく、mRNAは細胞の核に侵入せず急速に分解される。 動物を対象とした発生毒性および生殖毒性(DART)の研究では、妊娠中の有害な影響は示されていません。
・今後数ヶ月以内に妊婦を対象とした研究が計画されている。研究結果に応じて情報を更新していく
・WHOは暫定的に、利益がない限り妊娠中にmRNA-1273を使用しないことを推奨
・曝露のリスクが高い医療従事者や併存症のある妊婦は、COVID-19重症化リスクが高いので、ワクチン接種のメリットが潜在的なワクチンのリスクを上回る
妊娠への影響については明らかな危険性があるというわけではないが、念のためデータが揃うまでは様子見、という感じでしょうか。
続報:WHOは「高リスクの妊婦にワクチン接種推奨」
2021年1月29日、WHOは情報を更新しました。
ソースはこちら。
妊婦へのモデルナ社ワクチン接種を推奨せず、という見解からわずか数日で「推奨せず」の文言はなくなりました。
ワクチン供給の問題から妊婦を優先接種対象にはしないものの、曝露のリスクが高いグループに属する妊婦(医療従事者や併存疾患のある女性など)にワクチン接種することを推奨しています。
WHOはCDCと足並みを揃える形ですね。
続報2:厚生労働省「妊婦、授乳婦、妊娠希望する女性もワクチン接種は可能」
こちらは河野太郎ワクチン担当大臣のtweetから。
厚生労働省から以下のような情報が発信されています。
米国では、10万人以上の妊婦が #新型コロナワクチン を接種しています。妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の研究報告で、胎児や出産への影響は認められていません。
— 厚生労働省 (@MHLWitter) June 23, 2021
また、mRNAワクチンが生殖器に悪影響を及ぼす報告もありません。
続きは、下記よりご確認ください。https://t.co/B5KsSq8yja pic.twitter.com/lV5Wt3pDDQ
信頼できるワクチン情報サイト こびナビでも同様の内容が紹介されています。
そもそも「新型コロナワクチンを含めてこれまでに開発されたワクチンで不妊の原因となったものは1つもない」ことが断言されています。
ワクチンをめぐるデマにもだまされないようにしましょう。
ブログ更新:ワクチンデマについて https://t.co/35C60Dx6nk
— 河野太郎 (@konotarogomame) June 24, 2021
まとめ
妊婦、授乳婦、これから妊娠希望する女性がワクチンを打つべきなのかどうかについて参考になる情報をまとめました。
まだ1年も経っていないワクチンですが多くのデータが集積されていて、判断材料としてが十分なのではないかと思います。
接種するにしろ、様子をみるにしろ、正しい情報を知った上で判断していただくことが何より重要です。
こちらは今最も信頼できるコロナワクチンに関する書籍です。一般の方にもオススメできる内容ですのでぜひご一読を~。
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