今年もインフルエンザのシーズンがやってきました。
2020年以降、ほとんど忘れ去られた疾患になってしまったインフルエンザですが、今年は打ったほうがいいのか、打たなくてもいいのか?
結論から言うと「打った方がいい」なのですが、なぜ打ったほうがいいのか?
その根拠についてまとめます。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
2021/2022シーズンはどうだった?
国立感染症研究所のホームページによると2021/2022シーズンの定点あたりのインフルエンザ報告数の推移は以下のとおりです。
2021年は青い◇で示されていますが、1年を通じてほぼ0という状況です。
シーズンを通じて全国的な流行開始の指標である 1.00 を上回ることはありませんでした。
ピークがなさすぎて非常に見にくいですね‥
推計受診者は全国で3000人ほどしかいなかったであろうという予測もされています。
前年の1.4万人も少なかったですが、さらにその上をいっています。
日本ワクチン学会の見解
昨年に引き続き、日本ワクチン学会が2022/2023シーズンのインフルエンザワクチン接種に関する見解を公開しています。
要点は以下のとおりです。
・北半球の流行の目安になる南半球のオーストラリアで、2022年4月~7月にかけて過去5年間を超える流行が見られている
・ここ2年流行していないことで、インフルエンザウイルスに対しての抗体を持つ人が少なくなっている
・海外渡航の制限が解除されることの影響などで3シーズンぶりに流行した場合、死亡者や重症者が増加するおそれがある
オーストラリアの流行状況はこんな感じ。
日本感染症学会の見解
日本感染症学会の見解も同様です。
要点は以下のとおりです。
1. 2022-2023年シーズンは、インフルエンザの流行の可能性が大きいです
2. A香港型の流行が予想されます
3. 今季もインフルエンザワクチン接種を推奨します
4. ワクチン接種が是非必要な人
5. 例年通りのインフルエンザ対策が必要です
日本感染症学会によると特に流行に気をつけたい年代は小児です。
実際2022年6月22日、東京都内の小学校において、2年3か月ぶりにインフルエンザによる学年閉鎖が発表されたそうで、季節外れの流行にも気をつけなければいけないようです。
流行しやすい株についてはA香港型と予想されています。
これはA香港型のインフルエンザウイルスが変異しやすい性質を持っているためです。
2022/2023シーズンのワクチン供給状況は?
毎年、製造株の出来によって供給量が左右されるインフルエンザワクチン。
今シーズンは十分量確保できているようで、記録がある中で過去最大の供給量が見込まれています。
特に接種したほうが良い人
ということで、2022/2023シーズンはいよいよインフルエンザウイルスが流行するかもしれません。
毎年できるだけ多くの人がインフルエンザワクチンを打って集団免疫を作るのが理想なのですが、実際はそこまで接種率は高くならないので、個々の防御力を高めるしかありません。
インフルエンザが流行して一番被害を受けやすいのは
- 65歳以上の高齢者
- 妊婦
- 5歳以下、特に2歳未満の小児
- 慢性の持病を持つ方(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、神経疾患など)
- ステロイドなどの免疫を弱める薬を飲んでいる方
- 肥満のある人(BMI40以上)
- 19歳未満でアスピリンを長期服用している方
- 介護療養病棟や慢性期病棟に入居している方
です。
大事なのはコロナワクチンと同様に、もしインフルエンザに罹っても重症化しないようにしておくこと。
自分の身は自分で守るしかありません。
流行に備えて早めに準備はしておきましょう。
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