夜2~3時間おきに目が覚めてしまい、目覚めが良くない。どうしたらよいですか?
睡眠薬を飲んでも3時間で目が覚めてしまう。もっといい薬ありませんか?
患者さんからこんな質問をされることがあります。
「眠りたいのに眠れない」っていうのは本当につらいですよね。
なにせ人間の3大欲求の一つが奪われてるということですから。
この記事はこんな悩みを抱えて困っている方向けに「3時間で目が覚めてしまう悩み」を解決する方法について書きました。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。そこそこベテラン。
睡眠医学に興味があります。
「3時間で目が覚める」理由
ヒトは通常6~9時間眠り続けるのが普通ですから、3時間で目が覚めるのを繰り返しているというのは正常ではない状態です。
医学用語では中途覚醒と呼びます。
一言で中途覚醒と言っても、原因はそう簡単ではありません。
不眠になる原因はさまざまあり、しかもそれが複数重なっていることが多いからです。
(詳しくはこちらの記事)
中途覚醒の原因になりそうな理由をいくつか挙げてみます。
- コーヒーを寝る前に飲んでいる
- 寝酒をしている
- トイレが近い
- 心配事がある
- 寝る時間が早すぎる
- 寝室の環境が良くない(不快な環境、いびきなどの騒音)
などなど、ざっと挙げただけでもこれだけ出てきます。
どうですか? あてはまるものはないですか?
「3時間で目が覚める悩みに対処する」にはこうした一つ一つの問題を解決していくしかありません。
とりあえず睡眠薬をもらえば何とかなると思っている方もいるかもしれませんが、根本的な原因に対処せずに薬に頼っても効果はなく、むしろ体に悪影響な場合もあります。
具体的にどんな原因があるか詳しくみていきます。
加齢による影響
ヒトの睡眠はノンレム睡眠から始まり、睡眠中にノンレム睡眠とレム睡眠を交互に4-5回繰り返し現れます。
※ノンレム睡眠はより深い睡眠、レム睡眠は浅い睡眠というイメージです。
歳をとると深い睡眠であるノンレム睡眠が短く、浅くなっていきます。そうするとノンレム睡眠とレム睡眠との眠りの深さの差が小さくなるため、睡眠の途中でも目が覚めやすくなるんです。
こちらの図は健康な方の睡眠パラメータが年齢とともにどう変化していくかを表したものです。
高齢になるほど20代のような睡眠は得られないということが分かると思います。
高齢になるほど3時間で目が覚めるのは生理的な現象というわけです。
まずはそういうものであると割り切ることがポイントです。
日常生活の過ごし方の影響
日常生活の過ごし方も中途覚醒に影響します。
例えば
- 就寝時間、起床時間が不規則
- 食事時間が不規則
- 昼寝が長い
- 日中の活動量が少ない
- アルコール、カフェイン、タバコ
といった過ごし方は睡眠の質を低下させます。
また、睡眠環境(温度、湿度、騒音、照明、寝具)が整っているかどうかも大事です。
これらは自分自身で修正が可能なものですから、あなたにあてはまるものがあれば行動に移すべきです。
詳しくはこちら
【夜寝る前の過ごし方】2時間前にすべきこと・やってはいけないこと
快適な睡眠をとるのに最適な温度・湿度は?
心の影響
心と睡眠も密接に関係しています。
- 不安障害
- うつ病
- ストレス
などは中途覚醒に影響を与えます。
不眠を訴える方の8人に1人はうつ病を持っているとも言われています。
心の問題は自分自身では分かりにくいこともありますので、夜に何度も起きてしまう背景にはこうした心の問題があるかもしれません。
体の影響
体に不調があっても中途覚醒の原因になります。
- 痛みがある
- 痒みがある
- 咳がある
- 呼吸困難がある
- トイレが近い
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群
これらの不調があって眠れない場合はそれぞれの症状に応じた対応が必要です。
何が問題となっていて中途覚醒してしまうのかを専門家に相談する必要があるでしょう。
薬の影響
薬を服用している場合は、その中に睡眠に悪影響を与える薬剤が含まれていないか確認する必要があります。
- ステロイド
- 降圧薬(β遮断薬、α2刺激薬、Ca拮抗薬)
- パーキンソン病治療薬(ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、抗コリン薬)
- 気管支拡張薬
- 抗うつ薬(SSRI)
薬によっては直ちにやめることが難しいものもありますので自己判断でやめることは禁物ですが、薬が影響しているのであれば中止すれば原因が解決するかもしれません。
思わぬ薬があなたの中途覚醒の原因になっているかもしれませんので分からない方は薬剤師にチェックしてもらいましょう。
「3時間で目が覚める」を解決するには
「3時間で目が覚める」原因はさまざまあるというお話をしてきましたが、大事な前提があります。
それは、「3時間で目が覚める」ことによって日中の生活に不都合を感じているか?です
3時間で目が覚めても、日中の生活に不自由を感じておらず苦痛がない場合は特に治療は必要ないと言われています。
逆にもしあなたが日中の生活に支障を来して苦痛があるという場合は、これまであげた原因の中に該当するものから対処していきます。
とはいえ、専門家の助けも必要となる場合もありますので、まずはこちらのサイト(睡眠医療プラットフォーム)にアクセスしてみてください。
睡眠障害に関する正しい知識を得られますし、今すぐできる睡眠障害セルフチェックで睡眠障害の有無について簡易判定もできます。
判定結果をダウンロードし、医師に見てもらえばあなたに合った治療法を選んでもらえますし、どの病院にかかればよいか分からないという方は、このサイトで医療機関を探すこともできますよ。
一度アクセスして今の自分の状態をチェックしてみましょう!
また睡眠障害治療の一環でもある認知行動療法について知ることもおススメです。
認知行動療法は人によっては睡眠薬以上の効果を発揮すると言われています。
こちらの本は、実際に不眠に悩んだ著者が専門医を受診して認知行動療法に出会い、不眠を克服するまでの体験が綴られていますのでご一読をおススメします。
まとめ
「3時間で目が覚める」、いわゆる中途覚醒の原因と解決方法についてまとめました。
これをやればうまくいく!というものではないですが、まずは自分の睡眠障害がどのタイプにあてはまるのか?何が原因なのかを見極める必要があります。
きっとあなたに合った対策があるはずですので、安易にアルコールや睡眠薬に頼るのはやめましょう。
また、既に睡眠薬を飲んでいる方、アルコールが手放せない方の場合は急に中断すると離脱症状が起こる場合がありますから、くれぐれも自己判断しないようにお願いします。
この記事が少しでもあなたの助けになれば幸いです。
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