だいぶ過ごしやすい季節になってきましたが、みなさまいかがお過ごしですか。
今年の夏は猛暑で、寝苦しい夜が続きましたね。
私もさすがにクーラーなしでは乗り切れませんでした(^^;
これまで寝る前の行動から寝室の温度、湿度まで良質な睡眠をとるためのポイントについて解説しました。
でも睡眠の習慣ってかなり個人の癖が染みついているので、習慣を変えない限り改善できないですよね…
どうしても生活習慣を変えられないんだよな〜と思っている方は、試しに枕を変えてみると良いかも。
それは枕を冷やすと睡眠の質が改善するからです。
というわけで、今回は「枕を冷やすと良く眠れる理由」について深掘りします。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。睡眠医学に興味があります。
枕を冷やすと良い理由
枕を冷やすと良いと知ったのはこちらの書籍を読んでから。
著者の西野精治氏はスタンフォード大学の睡眠生体リズム研究所所長であり、2019年には自身が代表を務める株式会社ブレインスリープを設立しています。
2020年7月にはTV番組の「世界一受けたい授業」にも出演されていて、twitterでも反響がありました。
#世界一受けたい授業#スタンフォード式睡眠
— ふうのお楽しみ日記 (@FuuNikki) July 25, 2020
熱い夜は部屋だけでなく、枕も冷やす!
スタンフォード式筋弛緩ストレッチは、モデルのゆうたろう君も効果が出たみたいですよ。
世界一受けたい授業 スタンフォード式夏の睡眠の質を上げる方法&隠れ睡眠負債チェック https://t.co/Oa2FSPZK1Q
この番組で枕を冷やす理由は次のように紹介されています。
③『寝る30分前に枕を冷やす』
…頭も体の中の温度と同じように、就寝時には温度が下がります。
日テレ 世界一受けたい授業ホームページより https://www.ntv.co.jp/sekaju/articles/428m0uhndzv19lai5bl.html
夏の寝苦しい夜は、それを助ける役割のために、枕を冷やします。
方法は簡単!冷却枕や保冷剤を薄手のタオルで巻いて、枕の上に置いておくだけ。
30分ほどでひんやり枕ができあがります。ポイントは枕の上半分の方によせて置くこと。
人間は寝ているときに頭と足先から熱を放出し、深部体温を下げます。
体温を下げることで休息を取ろうとしているんですね。
脳も同じように温度を下げることで休息状態を作らなくてはいけません。
枕を冷やすことで脳の温度を下げ、脳を休ませる必要があるというわけですね。
「枕を冷やすと睡眠効果が改善する」根拠は?
枕を冷やす方法に根拠がちゃんとあるのか調べてみました。
こちらの論文(日生気誌 50(4):125-134,2014)では以下のように記載があります。
頭部を冷やす場合について,暑熱環境で睡眠する時に普通に枕を使用した暑熱条件,暑熱条件下で冷却枕を使用する条件,普通の枕を使う冷房条件の3条件を比較した.暑熱条件の冷却枕の使用は直腸温や皮膚温には影響を与えなかった.しかし,起床時の鼓膜温を有意に低下させ,睡眠中の全身発汗量を減少させた.その結果,睡眠中の中途覚醒が減少した(Okamoto-Mizuno et al.2003)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/50/4/50_125/_pdf/-char/ja
つまり、冷却枕は全身を冷やしているわけではないが、頭部の温度を下げることで中途覚醒を減少させている、ということです。
またこちらの論文(PLoS One.2019 Mar 25;14(3):e0213706.)は、女性が黄体期(月経後3週目から次の月経の前までの約1週間の期間)に体温が上昇することで日中眠気を訴えやすくなることに注目し、頭部冷却による睡眠の質を比較しています。
被験者数こそ少ないものの、総睡眠時間に変化はなく中途覚醒は有意に減らした、という結果になっています。
以上より、枕を冷やすこと=頭部を冷やすことで夜中に目覚める回数が少なくなるという根拠があることが分かります。
頭寒足熱とは良く言ったものですね(^^)
実践してみる価値あり!「枕を冷やす」方法
では具体的な方法について紹介しますね。
保冷剤
1つ目は先ほども紹介した保冷剤を薄手のタオルで巻く方法。
タオルで巻いた柔らかい保冷剤や、凍らせたタオルを寝る前の30分前に枕の上半分に置いておきます。
耳から下の部分を冷やしてしまうと逆に目が冴えてしまうので、耳から上の部分だけ冷やすのがポイントです。
デメリットとしては保冷剤を巻いた保冷剤自体は通気性が悪いので、汗をかいたときに寝苦しさを感じてしまうことと、枕に挿入することで感じる違和感でしょうか。
ジェルマット製の枕パッドならお手軽に使えそうです。
小豆パック
2つ目は小豆パックを使う方法。昔ながらの方法ですね。(なかなかシブいチョイス(^^;)
使い方としては、冷凍庫で冷やした小豆を布袋に入れ、枕の中央に置いて後頭部が当たるようにします。
小豆パックは通気性や吸湿性が良いので、快適性を保ちつつ保冷効果が期待できます。
ホットアイマスクなんかもこの性質を利用してたくさんの販売されてますね。
ただ人によっては、枕が固すぎて合わないことがあるかもしれません。
市販の冷却枕
3つ目は市販の冷却枕を使う方法。
値段はそれなりのものもありますが、毎日寝る前に保冷剤を用意する手間がありませんし、通気性の良い素材で作られているので快適性も保証されています。余計な異物感も気になりませんね。
通気性が良いという意味では「スタンフォード式最高の睡眠」でも紹介されていたそば殻枕が優れています。そば殻枕はそばアレルギーの問題や防虫処理などのお手入れが必要ですが、こちらのそば殻枕はAmazonさんでも高評価でした。
冒頭に紹介した西野氏が代表を務める株式会社ブレインスリープが開発した枕「BRAIN SLEEP PIRROW」は睡眠医学をもとにつくられていて、脳を冷やすことを意図して設計されているそうです。通気性が高い、寝返りしやすい、シャワーで水洗いができるメリットがあります。
スタンフォード式 最高の睡眠から生まれた「BRAIN SLEEP PILLOW」こちらは30日間は返品可能ですので、せっかくなら高級枕の威力を体験してみたい方、睡眠にこだわりたい方はお試しでどうぞ。
まとめ
睡眠効果を上げるために枕(頭部)の冷却が大事であるというお話でした。
もちろん、枕一つで良い睡眠が出来るわけではありませんが、この記事をきっかけに日常生活で出来る睡眠に良い習慣を実践していただけると嬉しいです。
睡眠医学って知ってると健康に役に立つことばかりなので面白いですね。
正しい知識を知って快適な睡眠生活、健康な体を手に入れましょう(^^)
コメント