薬学生の病院薬剤師離れ。
地方ではより深刻な話題となっています。
早まる薬学生の就活、加速する病院離れに危機感(日経メディカル 2022年8月8日記事)
私の施設でもだんだん現実味が出てきました。
病院薬剤師が調剤薬局薬剤師やドラッグストア薬剤師に比べて人気がない理由の一つに「夜勤が怖い」というのがあるようです。
病院薬剤師の夜勤の実態についてまとめてみました。
【この記事を書いた人】
地方の病院に勤める薬剤師です。
病院薬剤師の夜勤(宿直)業務
厳密にいうと夜勤と宿直の定義は違っていて、「夜勤」は日中と同じような働き方が前提であるのに対して、「宿直」は緊急時のみ対応するというニュアンスの違いがありますが、ここではざっくり「病院薬剤師が夜間帯に行う業務」として話をします。
業務内容として一般的なのは
- 夜間帯に発行された処方箋の処理
- 救急外来で処方された薬の投薬
- 夜間帯に病棟で必要になった薬(麻薬含む)の払い出し
- 電話対応
です。
新人さんは日中の業務をひと通りできるようになったら(半年ないし1年で)デビューすることになります。
病院薬剤師の夜勤(宿直)は忙しい?
転職サイトにこんな記事がありました。
正直誇張しすぎてて悪意さえ感じます・・↓
病院での当直業務は、非常に多忙です。
日勤用の業務と夜勤用の業務で分けられていることもあり、在庫の管理や翌日の院内製剤の準備などは夜間に回されていることもある業務です。
入院患者の容体が急変した場合、医師が発行した緊急の処方箋について対応しなければいけませんし、緊急外来を行っている病院であれば、院内調剤での対応を求められることもあります。
薬剤師の場合、月に4~5回の割合で当直の当番がやってきます。病院によっては7回程度もあります。
仮眠を取ろうとしているタイミングで、オンコールの電話がなることもあるので、休憩があろうとも身体的な緊張感はほぐれません。
しかも、当直では緊急を要する相談が多いので常に頭をアクティブにしておく必要があります。
夜間の業務は少人数で対応しなければいけないため、個人当たりの業務量と求められるスキルは多大なものとなるでしょう。
引用元:薬剤師の夜勤・病院当直の仕事内容とは?手当相場やデメリットを解説 yakuzaishi.biz
月4-5回、場合によって7回なんていうのはまずあり得ないです。
こんなブラックな環境で働きたいなんて私も思いません。
私の施設は月1-2回程度。近隣の病院もこれくらいと聞いています。
病院の規模や薬剤師数にもよりますが、これくらいが一般的だと思います。
(大規模の病院でなければ)基本的に1人で、日中のようなルーチン業務は行わずに最低限の業務だけ行う、のが夜間帯の業務と考えていいでしょう。
なので、私は空いた時間を使って調べものをしたり、本を読んだり、TVを観たりしています。
深夜12時以降に起こされる回数は全くないこともあれば、2-3回くらいのこともあります。
知人の病院ではほとんど寝当直だと言っていました。
上記の記事のようにずっと緊張が張り詰めた状況で勤務する病院も(まれに)あるのかもしれませんが、あまり真に受けないほうがいいと思います。
夜勤は怖い?
薬学生からすると「夜勤は怖い」というイメージがあるようです。
病院だから何か出ると思うのかな(笑)
1人で責任が重いから?
責任の話をするなら、調剤薬局でもドラッグストアでも1人薬剤師で調剤・監査・投薬をする職場があるみたいで、私はそっちのほうがよっぽど怖いと思います。
基本的に夜間に来た救急患者さんに病院薬剤師が対応する薬はものすごく限られています。
ほぼ鎮痛薬、制吐剤、抗菌薬、胃薬、小児であれば熱性けいれんに対するジアゼパム坐剤や鎮咳薬くらいです。
その理由は夜間帯は十分な検査、診断ができないから。
夜間に薬剤部の窓口に来る人は、ひとまず対症療法で様子をみてください、必要があれば翌朝以降に近くの病院でもう一度みてもらってくださいという人なので、これくらいの薬で足りるんです。
病棟絡みの質問が来たりしますが、分からないときは調べればいいし、翌日で良ければ先輩に聞くでもいいと思います。
ちゃんと勉強しておきたいという方はこちらが参考になります。
まとめ
病院薬剤師の夜勤業務について思うことを書いてみました。
病院薬剤師になるうえで夜勤がネックだという人は、説明会や面接で夜勤の業務内容、夜勤回数、代休の扱い、手当てなどについて質問してみたらいいと思います。
イメージと違う場合は避けたほうがいいでしょうが、少なくとも忙しい、緊張感に押しつぶされそう、みたいなこととは全く逆のことがほとんだと思います。
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