ずっと同じ職場で薬剤師やってるけどそろそろ転職考えようかな?
薬剤師になったらその先にどういう道があるの?
転職考えたことありますか?
薬剤師なら誰でも一度は転職を考えたことがあるのではないでしょうか。
あるいは実際に転職を経験した人も多いはず。
薬剤師の転職といえば、病院か薬局か‥くらいが定番だと思っていましたが、本書を読んでだいぶイメージが変わりました。
「これが私の薬剤師ライフ」(日経BP)は10年前に6年制薬学部を卒業した学生(年代的には30代半ばの方々)が、薬剤師としてどういうキャリアを歩んできたのか?を紹介したもの。
彼らの選んだキャリアはとっても多彩で、何より若さと情熱が感じられます。
なぜそのキャリアを選んだのか?
現在どんな仕事に携わっているのか?
薬剤師の資格にとらわれない働き方とは?
などなど、これから転職を考える薬剤師のみならず、進路に悩む薬学生、将来薬剤師を目指そうと思っている高校生やその親御さんにも非常に参考になります。
本書に出てくるさまざまな薬剤師のキャリアと選択の理由についてまとめました。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
最初の就職先はどうやって選んだ?
いま就職先どうしようかな‥?と悩んでいる薬学部の学生さんが最も気になるのが、先輩がどうやって進路を選んだのかということでしょう。
本書の薬剤師がどのように就職先を選んだのか?を進路別にざっくりまとめてみます。
ドラッグストア(Dgs)
- セルフメディケーション、予防医学により興味があったから
- 他職種(栄養士や看護師)で患者さんをサポートできるところに魅力を感じた(大手のDgs)
- ワークライフバランス重視(残業、休日など)
- 初任給がよかった
- OTC薬品の販売に携わりたかったから
調剤薬局
- 奨学金返済があったため
- 会社見学したら社内の雰囲気が良かった(大手調剤薬局)
- 地域の人たちとたくさん触れ合う仕事がしたかった
- 訪問介護、在宅医療など地域医療に関わる経験を積みたかった
病院薬剤師
- 病院実習で命の最前線に触れたから
- 病院実習の指導薬剤師の姿に感銘を受けたから
- 臨床もやりながら研究活動も両立したいと思ったから
- 医師に近い現場で働きたかった
- 臨床現場で経験をより多く積みたかった
研究開発職
- とにかく研究がしたかったから
- 大学時代の研究を続けたかったから
- 研究の成果が出れば、臨床で働くより大きな社会貢献ができると考えたから
MR
- 努力次第で給料が上がるから
- 営業活動の経験があれば、どんな仕事でも役に立つと考えたから
- 医薬品の適正使用に関われば多くの患者さんに貢献できると考えたから
その他
- 起業(学生のうちから決めていた)
などなど、さまざまな理由がありました。
当然ですが最初の就職先を選ぶ基準は人それぞれ。
何を重視するのかを学生時代から決めていた人、迷いに迷った挙句「とりあえず」で選んだ人、数年後の別のキャリアを見据えて就職した人‥
少なくとも私が就職したころに比べると、6年制薬学部では薬局実習と病院実習がそれぞれ2.5か月ずつ、と長くなったので、自分の将来の薬剤師像がイメージしやすくなっているのは間違いなさそうです。
転職した理由は?
続いて、どうして転職しようと思ったのか?について。
- 在宅医療の経験がないことに危機感をおぼえたので調剤薬局へ(Dgs薬剤師)
- 薬剤師業界を俯瞰して見てみたいので医療コンサルへ(病院薬剤師)
- 医師の処方意図をより深く知りたいので病院へ(薬局薬剤師)
- 自分が理想とする薬局づくり、夢実現のために企業(薬局薬剤師)
- 医療の全貌が見えるにつれ、このまま続けることに疑問を持った(MR、病院薬剤師)
- より大きな企業で自分の力を試してみたい(研究開発職)
- 幅広い診療科の処方箋に触れたいので派遣薬剤師へ(薬局薬剤師)
- 友人からの誘いで管理薬剤師に(病院薬剤師)
- 結婚、出産のタイミングで転職
などです。
Dgs薬剤師は店舗の責任者として、早い時期から店舗経営や人材育成などマネジメントを任される立場になれる一方で、薬剤師としての実務からは離れ気味になってしまうことが懸念材料。
薬局薬剤師は在宅医療を通じて地域との患者さんとの関わりにやりがいを見出せる一方、医師の処方意図がみえずに薬剤師としての成長に停滞を感じてしまうことがあるようです。
病院薬剤師は医師や看護師と一緒に働くことで臨床的なセンスを磨くことができ、医師のタスクシフトで新しい業務もどんどん拡大しているので、職能を発揮することにやりがいを見いだしやすいですが、夜勤などの勤務形態や業務量の多さが負担になることがあるかもしれません。
このように、どの働き方をとっても一長一短です。
本書に登場する薬剤師も、就職して数年経過したところで見たい景色が変わった、という人が何人もいました。
彼らの転職に対する考えは、とてもポジティブで、今までの自分に足りないところを補完して、さらにステップアップできる手段という位置づけ。
知り合いのつてや転職サイト、SNSなどを使って積極的に転職先を決めたようです。
学生時代にやっておくと良いこと
彼らが薬学生として在学中に行っていた活動が興味深かったので紹介します。
- 日本薬学会主催の「全国学生ワークショップ」に参加した
- プログラミングを学んだ
- FP(ファイナンシャルプランナー)、相続診断士の資格をとった
- 夏休みや休日を利用して病院や薬局にアポイントをとって見学に行った
- 日本薬剤師学術大会に参加して、先輩薬剤師の講演や発表を聴いた
いずれも意識の高い学生だったんだろうなと推察…
学生のうちからこういった活動に参加しているとは驚きですし、きちんと将来を見据えているのが良く分かりました。
ちなみに「全国学生ワークショップ」は、6年制薬学部初の6年生が登場した2011年から行われているもので、全国の薬学部6年生が集まって、自分たちが受けた薬学教育の振り返りをしたり、薬剤師の未来について議論する場です。
ワークショップの成果は膨大な資料にまとめられていて議論が活発に行われた様子が確認できます。
個人的におすすめなのが、学生のうちに薬剤師学術大会などの学会に参加してみること。
学生は参加費が安く、タダで参加できることもありますし、学会に参加する薬剤師は意識が高いので、発表を聴いて「この薬剤師と一緒に働いてみたい」と思える人に出会えるかもしれません。
連絡先を交換しておけば、そのつてでまた世界が広がります。
いずれにしてもこういった経験は社会に出て必ず役立つので、ぜひ参考にしてみてください。
転職サイトに登録してみる
現役で働く薬剤師が転職を考えるならまずは転職求人サイトを利用しましょう。
もちろん個人的な「つて」があるのなら使いつつ、並行して求人サイトを併用しましょう。
転職エージェントは履歴書の作成や面接対策、あなたに合う求人を無料で紹介してくれます。
今の職場で働きながらでリスクは全くないですし、2-3社登録しておけばチャンスが来やすいでしょう。
ただし、良い求人はすぐに無くなってしまうので、見逃さないよう登録だけでもしておきましょう。
リクナビ薬剤師ファルマスタッフ薬キャリまとめ
本書にはこの他にも「え?こんな薬剤師もいるの?」と驚くようなキャリアを歩んでいる薬剤師がたくさん紹介されています。
ある方は「薬剤師の資格をどう使うかは自由で、やりたいことをやるための保険にすぎない」と言っていました。
これからの薬剤師はキャリアアップのために転職しながら、自分のやりたいことを突き詰めていく。
6年制はどうなんだ?みたいな意見がありますが、彼らの今にその答えがありそうです。
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