薬を飲んだあとに湿疹が出たことがあるんだけどコロナワクチン打っていいのかな?
化粧品でアレルギーがあっても打ってもいいの?
新型コロナワクチン接種が進んでいます。
早くワクチンを打ってコロナウイルスに対する免疫をつけたいと思う反面、
過去に薬でアレルギーがあった人はワクチン打って良いのかどうか不安になりますよね。
結論からいうと、一部の薬を除くと、過去に薬で薬疹やアレルギーがあったとしてもコロナワクチンは打てます。
その理由について解説します。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
薬を飲んだあとに出るアレルギー(薬疹)とは?
薬疹とは
薬を飲んだことがきっかけで、皮膚に予期しない発疹が出ること
です。
具体的には体のあちこちに湿疹ができたり、発熱したり、関節が痛くなったり。
酷い場合には呼吸困難や血圧低下を起こしたり(アナフィラキシー)、全身やけどのような状態になったり、生命の危機的状況になることもあります。
どんな薬でもアレルギー、薬疹を引き起こす可能性はありますが、
良く知られているものとしては
- 抗菌薬
- 解熱鎮痛薬
- 総合感冒薬
- 尿酸生成阻害薬(アロプリノール)
- 抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、ラモトリギン)
などが有名です。
事前に予想することは難しく、ほとんどの薬疹は薬が体の中に入ってからでないと分かりません。
薬疹は診断が難しい
日本皮膚科学会ホームページには以下のようなQ&Aがあります
Q5どんな時に薬疹を疑いますか?
薬を内服して発疹が出た場合にはすぐ薬疹と考えたくなりますが、これは正しくありません。大体薬は具合が悪い時、とくにウイルス感染がある患者さんが内服する場合が殆どなので、薬疹かウイルス感染かの区別が難しい事が多いのです。(…以下略)
薬疹(重症) Q5 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) (dermatol.or.jp)
要は実際に薬を飲んだあとに発疹が出たとしても、
薬が原因かどうかを確定するには、さまざまな検査や他の要因を排除するなどして、総合的に決めなくてはいけない
ということです。
また皮膚を専門に診ている医師かどうかによっても診断が違うことも考えられます。
例えば皮膚科専門医が薬疹ではないと判断したとしても、皮膚科以外を専門にする医師が薬疹だと言えば、薬疹という診断になってしまうんです。
あなたの経験したアレルギーは本当に薬が原因の薬疹だったのか?
まずはアレルギーに関する情報が正確かというところがポイントです。
コロナワクチンとアレルギー
ファイザーのコロナワクチン(コミナティ筋注)の添付文書には以下のような記載があります。
アレルギーでワクチン接種ができない人は、ワクチンの成分そのものにアレルギー反応がある人です。
コミナティ筋注には10種類の化合物が含まれています。
①トジナメラン
②2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド 0.4mg
③(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル) 3.23mg
④1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン 0.7mg
⑤コレステロール 1.4mg
⑥精製白糖 46mg
⑦塩化ナトリウム 2.7mg
⑧塩化カリウム 0.07mg
⑨リン酸水素ナトリウム二水和物 0.49mg
⑩リン酸二水素カリウム 0.07mg
トジナメランとアレルギー
トジナメランはワクチンの主成分であるメッセンジャーRNA(mRNA)です。
基本的には今までだれも投与したことのないワクチンなのでトジナメラン自体にアレルギーを示すことは考えにくいです。
ポリエチレングリコールとアレルギー
ポリエチレングリコールはmRNAがすぐに壊れないように周りを覆っている物質です。
ポリエチレングリコール自体は安全性が高い物質として世の中に広く普及している化合物です。
医薬品の添加物としてもたくさん使用されていますし、化粧品としても使われています。
化粧品でアレルギーを経験した人はポリエチレングリコールに対するアレルギーがあるのかもしれません。
もし過去にポリエチレングリコールによる重度のアレルギーを経験したのであれば、1回目のワクチンでもアレルギー反応を起こす可能性があるのでワクチンは接種できない可能性があります。
ファイザーの報告によると、コミナティ筋注でアレルギー(アナフィラキシー)を起こす人の割合は100万人に5人程度と言われています。
その他
③~⑩は医薬品の添加剤もしくは体内成分、食品添加物です。
現時点では③~⑩が問題になっているケースはありません。
薬でアレルギーがあってもワクチンは接種できる
コロナワクチン情報提供サイトこびナビでは次のように記載があります。
問題となるのはポリエチレングリコールです。
それ以外の薬であれば
過去に薬が原因で薬疹などのアレルギーを経験した人であってもコロナワクチン接種は可能です。
ワクチン接種後は全ての人が15分以上の経過観察後に帰宅することとなっていますが、薬疹を経験した人の場合には念のため30分の経過観察を指示されるかもしれません。
経過観察時間については問診医の指示に従いましょう。
解熱鎮痛薬でアレルギーがある場合
コロナワクチン接種後には筋肉痛や発熱といった症状が少なからず出ることが分かっています。
解熱鎮痛剤は接種後であれば使ってOKです。(前はダメ)
しかし解熱鎮痛剤にアレルギーがある場合には使用を避ける必要があります。(アレルギーの程度にもよりますが)
アレルギーがない薬を選びましょう。
詳しくはこちらもご覧ください。
まとめ
過去に薬疹などの薬のアレルギーを経験した人であってもコロナワクチン接種は可能です。
そもそも本当に薬疹かどうか確定できないことも多いですし、診断自体が誤っていたという可能性もあります。
本当に薬が原因だったとしても、ポリエチレングリコール(やポリソルベート)によるアレルギーを経験した人以外は問題ありません。
そう考えると実際にコロナワクチン接種ができない人って滅多にいないはず。
過度に心配しすぎず、不安な点は解消してワクチン接種に臨みましょう。
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