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【知らないと怖い!】デキストロメトルファンの相互作用

メジコンの相互作用精神
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咳止めといえばデキストロメトルファン(商品名:メジコン®)が有名です。

風邪をひいたとなれば何気なく処方される機会の多い薬でもあり、皆さん一度くらいは飲んたことがあるのではないでしょうか。

さてこのデキストロメトルファン、飲み合わせによってものすごく怖い側面を持った薬であることをご存知でしょうか?

ただの咳止めと侮ってはいけません。

今回SNSを通して薬剤師として非常に勉強になった話題があったので、デキストロメトルファンの相互作用についてまとめてみました。

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。

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デキストロメトルファンとは

メジコン®錠インタビューフォームより

デキストロメトルファンはもともとはモルヒネ系化合物の合成の過程で分離された化合物です。

麻薬性を有せず、鎮咳作用を期待して発売されました。

中枢性に作用して上気道炎などで生じる咳嗽反射を抑制します。

いわゆる咳止めといえばデキストロメトルファンというくらい有名です。

デキストロメトルファンの代謝産物であるデキストロファンはN-メチル- D-アスパラギン酸(N-methyl-D-aspartic acid:NMDA)受容体への拮抗薬としても作用します。

一般的に安全性は高いとされていますが、大量に摂取した場合にケタミンと似た効果を示すことがあり、海外では市販品の乱用による急性中毒がしばしば話題にあがっています。(Clin Toxicol 2007;45:662-77)

デキストロメトルファンとCYP2D6阻害薬との相互作用

今回勉強になったな~と思ったのがこちらのツイート。

OTCの成分についてよくご存じだな~と感心するのに加えて、デキストロメトルファンの相互作用って今まであまり気にしたことがなかったなぁと反省しました(汗

どういうことかというと

デキストロメトルファンはCYP2D6の基質薬、パロキセチンはCYP2D6の強い阻害薬

パロキセチンによってデキストロメトルファンの血中濃度が上昇

デキストロメトルファンの過量投与によってセロトニン症候群が出現

というわけです。

ちなみに相互作用の強さは基質薬の阻害の受けやすさである代謝寄与率(CR)阻害薬の阻害の強さである阻害率(IR)の2つのパラメータから求めます。

PISCSの考え方ですね。

パロキセチンはCYP2D6の強い阻害薬で有名です。

デキストロメトルファンの基質薬としての阻害の受けやすさは添付文書やインタビューフォームからはデータが確認できませんでしたが、DDI predictor によると両者の併用でデキストロメトルファンのAUCは‥なんと50倍に上昇!という予測です。

セロトニン症候群は数分から数時間と短時間のうちに起こることも知っておきましょう。

【関連記事】【悪性症候群とは?】看護師も知っておきたいケアのポイント

CYP2D6阻害薬はパロキセチンの他に‥

強い阻害薬:シナカルセト(レグパラ®)、テルビナフィン(ラミシール®)、キニジン

中等度の阻害薬:セレコキシブ(セレコックス®)、デュロキセチン(サインバルタ®)、エスシタロプラム(レクサプロ®)、ミラベグロン(ベタニス®)

弱い阻害薬:アミオダロン(アンカロン®)、シメチジン(タガメット®)、セルトラリン(ジェイゾロフト®)、コビシスタット(抗HIV薬)、ラベタロール(トランデート®)、リトナビル(抗ウイルス薬)

(医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン)

一方、基質薬はデキストロメトルファンの他に

アミトリプチリン、イミプラミン、フルボキサミン、ミアンセリン、トラマドール、オキシコドン、ハロペリドール、リスペリドン、タモキシフェン‥

などがありますので、これらの薬剤の組み合わせ如何によっては血中濃度の変化に注意が必要ですね。

参考になりそうな報告としては

デキストロメトルファンおよび抗うつ薬によるセロトニン症候群が疑われ薬局薬剤師が介入した 1 例(日本老年薬学会雑誌 Vol.3 No.3 2020 pp.65-69)

デキストロメトルファン(メジコン®)によりセロトニン症候群を来した1症例(麻酔 58(12): 1531-1533, 2009)

長期間持続するテルビナフィンとノルトリプチリン,アミトリプチリンとの相互作用(薬局 63(12): 3572-3575, 2012)

がありました。

管理人
管理人

テルビナフィンの相互作用、あまり気にしたことなかったから気をつけよ‥

デキストロメトルファンとメマンチンの相互作用は?

メマリー®錠添付文書より

メマンチンの添付文書にはデキストロメトルファンとの相互作用に関する記載があります。

冒頭で少し触れましたがデキストロメトルファンの代謝物はNMDA受容体拮抗作用があり、メマンチンの作用と重複することで作用が増強してしまう可能性があるためです。

実際、私も過去に両薬剤が併用されたためにひどいせん妄症状を起こしたのでは?と思った症例を経験したことがあります。

両者の相互作用についてどの程度気をつけたらいいのかというのが気になります。

ただ調べてみるとあまり大きな話題になってはいないようです。

文献を確認してみました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34151816/

日本からの報告です。

副作用データベースJADERを使って、メマンチンとアマンタジン、デキストロメトルファン、シメチジン、ラニチジン、プロカインアミド、キニジンを併用した際に有害事象の報告件数の増加がみられるかを検証しています。

結果としては、これらの薬剤の併用で明らかな有害事象の増加は確認できず、ただちに併用を中止するまでの勧告を出す必要があるとはいえない、ということでした。

その他数報確認しましたが、明らかな相互作用の懸念はなさそうです。

まとめ

頻用薬のデキストロメトルファンの相互作用についてまとめました。

組み合わせによってはセロトニン症候群を引き起こす可能性があることを念頭に服薬指導にあたらないといけないな、ということを確認できました。

日々是勉強ですね。

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