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【コロナ治療薬】パクスロビドは相互作用チェックが大事!

パクスロビドの相互作用感染症
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新型コロナウイルスの経口治療薬といえばこれまでに多くの薬が出ては消え…

【関連記事】【コロナ治療薬の光と影】消えていった薬、話題の新薬

そんな中、2021年12月23日に米国FDAが新型コロナウイルス経口治療薬パクスロビドを承認しました

パクスロビドは一体どのような位置づけになるのでしょうか?

パクスロビドに関して現時点で分かっている情報をもとに、薬剤師として知っておくべき点、注意点についてまとめました。

パクスロビドの相互作用チェックはけっこう大変かもしれません^^;

【この記事を書いた人】

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。

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パクスロビドとは

Photo by Fusion Medical Animation on Unsplash

ウイルスは、感染した細胞にウイルスタンパク質を作らせることで増殖します。

SARS-CoV-2はMproというハサミ(プロテアーゼ)で、細胞に作らせたタンパク質を適切な箇所で切断することで複製を完了します。

パクスロビド(paxlovid)はMproというハサミの働きをブロックすることでウイルスの複製を阻止する薬です。

パクスロビドはニルマトレルビルとリトナビルが一緒にパッケージされており、同時の飲むことで効果を発揮します。

リトナビルがニルマトレルビルの血中濃度を上昇させることを利用しています。

パクスロビドはファイザー社が開発した薬で、オミクロン株の流行を背景に米国FDAより緊急使用が認められました。

パクスロビドの効果

パクスロビドはどの程度効果があるのでしょうか?

緊急使用可能となった臨床試験EPIC-HRの結果は以下のとおりです。

対象:入院を要さないSARS-CoV-2感染症と診断された18歳以上の患者

デザイン:ランダム化されたプラセボ対照二重盲検比較試験

結果:

COVID-19関連の入院または死亡 
paxolovid 0.8% vs プラセボ 6.3%

全死亡
paxolovid 0% vs プラセボ 1.1%

NNT(1人に治療効果が認められるために必要な人数)は18人程度ですので、なかなかの成績だと思われます。

ちなみにモルヌピラビル(ラゲブリオ®)に関しては中間解析では50%の入院リスク減少という大々的なニュースになりましたが‥

【関連記事】モルヌピラビルの特徴は?薬剤師からみた注意すべき点

最終的には30%の入院リスク減少に落ち着きました。

NNTは34人程度ですので、治療成績ではパクスロビドのほうが一枚上手という結果ですね。

パクスロビドの位置づけ

2021年12月30日にNIH(アメリカ国立衛生研究所)は入院を要さない高リスクのCOVID-19治療薬に関する声明を発表しました。

要点としては

  • カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)はオミクロン株に対する効果が著しく減少
  • ソトロビマブ(ゼビュディ®)はオミクロン株に対して活性があると予想される唯一の抗体薬
  • レムデシビル(ベクルリ―®)の3日間点滴静注をオプションとして採用
  • パクスロビド、モルヌピラビル(ラゲブリオ®)の緊急使用を許可

この声明では、入院を要さないCOVID-19ハイリスク患者に対しては

パクスロビド

ソトロビマブ(ゼビュディ®)

レムデシビル(ベクルリー®)

モルヌピラビル(ラゲブリオ®)

の順番で使用することを推奨しています。

モルヌピラビルの位置づけが最後なのは

モルヌピラビルには胎児毒性があり妊婦に使用できないこと、パクスロビドと比較して有効性が劣ることが理由です。

日本ではパクスロビドがまだ使用できませんが、使用できるようになれば米国に倣って、このような順番で使用薬剤を検討することになるかもしれません。

パクスロビド使用時は相互作用チェックが大事

パクスロビドはリトナビルが含まれるため、薬剤間の相互作用が懸念されます。

リトナビルはCYP3A4の代謝を阻害するのでさまざまな薬剤が対象となります。

FDAが併用禁忌として挙げている主な薬剤は以下のとおりです。

リトナビルのCYP3A4阻害作用による血中濃度上昇が懸念される薬剤(併用禁忌)

鎮痛薬:ペチジン、ピロキシカム

抗不整脈薬:アミオダロン、フレカイニド、プロパフェノン、キニジン

痛風治療薬:コルヒチン

抗精神病薬:ルラシドン、ピモジド、クロザピン

麦角誘導体:ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン

HMG-CoA還元酵素阻害薬:シンバスタチン

PDE5阻害剤:肺動脈性肺高血圧症に使用した場合のシルデナフィル

鎮静/催眠薬:トリアゾラム、経口ミダゾラム

CYP3A4代謝を誘導するためにパクスロビドの血中濃度減少が懸念される薬剤(併用禁忌)

抗悪性腫瘍薬:アパルタミド

抗けいれん薬:カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン

抗結核薬:リファンピシン

ハーブ製品:セントジョーンズワート

併用注意薬

これ以外にも併用注意薬として

カルシウム拮抗薬(アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン)

ワーファリン、リバロキサバン

抗真菌薬(ボリコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール)

C型肝炎に対する抗ウイルス薬

抗HIV薬

免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)

などなど多数の薬剤がラインナップされています。

モルヌピラビルと比較すると、相互作用の問題で投与ができない患者が一定数出てくることは確かですから、薬剤師としては併用薬のチェック、投与後の副作用モニタリングが重要なポイントになるでしょう。

日本で承認された際には米国と記載薬剤が異なる可能性がありますが、paxolovidのFACT SHEETTable1の相互作用の対象薬剤には一度目をとおしておかれると良いと思います。

併用薬チェック便利ツール

COVID-19 Drug interactionという相互作用チェックアプリをリバプール大学が公開しています。

スマホにダウンロードしておくと重宝すると思いますよ。

また国立国際医療研究センター病院のホームページ上では相互作用に注意すべき薬剤リストが公開されています。

「パキロビッド®パックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」の公開について

このリストが全てというわけではないと思いますが、便利ツールは是非活用していきたいところです。

【関連記事】【パキロビッドの相互作用】PISCSを使って検証してみた

まとめ

2022年1月時点で新型コロナウイルス感染症の経口治療薬で最も有望なパクスロビドの注意点についてまとめました。

パクスロビドを服用するような人はもともと基礎疾患を持った人が当てはまるので、慢性疾患治療薬を飲んでいる方はそれなりに多いのではないかと思われます。

リトナビルを使用しているので相互作用の対象となる薬剤がとにかく多く、チェックが大変です。

薬剤師としては、いざパクスロビドが処方された際に併用薬を正確に確認し、適切な情報を主治医にフィードバックできる準備をしておきたいと思います。

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