毎年流行していたインフルエンザウイルス。
昨シーズンはほとんど流行しませんでしたが、どうせ今シーズンも流行らないだろうと甘く見ないほうがいいかもしれません。
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そもそもインフルエンザワクチンはいつ打ったら良いのでしょうか?
10月からの接種は早すぎる、もう少し待ってから・・、という方もおられるかもしれません。
結論から言うとインフルエンザワクチンは10月からで大丈夫。
その理由について解説します。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するようにこころがけています。
インフルエンザの流行はいつからいつまで?
例年のインフルエンザの流行入りとピークについてみてみましょう。
流行入り/ピークで表しています。
- 2019/2020シーズン 11月下旬/12月下旬
- 2018/2019シーズン 11月下旬/1月下旬
- 2017/2018シーズン 11月下旬/1月下旬
- 2016/2017シーズン 11月中旬/1月下旬
- 2015/2016シーズン 1月上旬/2月上旬
シーズンによって前後はありますが、だいたい11月から流行が開始となり12月から1月にかけてピークが訪れるということが分かります。
インフルエンザワクチンを積極的に打ったほうが良い人
インフルエンザワクチンの対象は6ヶ月以上の小児からですので、基本的に全国民が対象です。
なかでも、インフルエンザワクチン予防接種をとりわけ積極的に打つように勧められる人がいます。
インフルエンザワクチンの接種を積極的にすべきとされる人は
- 65歳以上の高齢者
- 妊婦
- 5歳以下、特に2歳未満の小児
- 慢性の持病を持つ方(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、神経疾患など)
- ステロイドなどの免疫を弱める薬を飲んでいる方
- 肥満のある人(BMI40以上)
- 19歳未満でアスピリンを長期服用している方
- 介護療養病棟や慢性期病棟に入居している方
です。
これらの方はインフルエンザにかかった際に重症化するリスクが健康な方よりも高いため、インフルエンザワクチンの積極的な接種が勧められているんです。
上記に当てはまる人は毎年必ずインフルエンザワクチンを接種しましょう。
「ワクチン=命を守ること」ですからね。
もちろん上記にあてはまらない方でも、次に述べるようにインフルエンザワクチンを接種する理由がちゃんとあります。
インフルエンザワクチンの効果
インフルエンザワクチン打っても結局かかってしまうんだから意味ないよね?
と考えて打たない方がいますが、それは大きな間違いです。
たしかにインフルエンザワクチンの効果は100%ではないので、ワクチンを打ってもインフルエンザにかかってしまう人はいます。
しかし、
- インフルエンザワクチンを打った人のほうが打たなかった人よりもインフルエンザになりにくい(注1)
というデータや、
- 高齢者にインフルエンザワクチンを打つことによって死亡を38%減らす
- 基礎疾患のある小児の死亡を49%減らす
というデータがあるんです。(注2)
注1)平成28年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable disease)対策への適用に関する分析疫学研究
注2)JAMA 1994;272(21):1661-5
そしてもう一つ重要なポイントがあります。それは集団免疫効果です。
現在インフルエンザワクチンは任意接種となっていますが、周囲にインフルエンザワクチンを打った人が多ければ多いほど社会全体がインフルエンザにかかりにくくなるんです。
2019/2020シーズン、2020/2021シーズンは新型コロナウイルス騒動で手洗い、うがいの励行、人との接触がかなり制限されたことでインフルエンザがさほど流行しませんでした。
これはある意味「集団免疫効果」と言えるのかもしれません。
インフルエンザワクチンが必要ないと思っている方には、ぜひこの集団免疫効果のことを考えてもらいたいですね。
自分を守ることが社会を守ることにもなるのです
※日本でもかつては小児のインフルエンザワクチン集団接種が行われていた時代があったのですが、残念ながら現在は行われていません。
インフルエンザワクチン10月から接種は早いのか
ではインフルエンザワクチンを10月接種は早すぎないのでしょうか?
これはワクチンの効果が出るまでにどれくらい時間がかかり、どれくらい効果が持続するかで分かります。
インフルエンザワクチンの効果は接種してから2週間程度かかります。抗体が上昇して免疫を獲得するのにこれくらいかかるんです。
また2-3か月で徐々に抗体価は減少していきますが、だからといってすぐに効果がなくなるわけではありません。効果がなくなるまでには約半年かかりますので、成人であれば1回打てば1シーズン効果が続くと考えて良いでしょう。
これらを考慮すると流行に入る前までに十分にインフルエンザワクチンの効果を上げておくためには10月に接種で大丈夫です。
医療従事者も10月から接種を開始していますので、決して早すぎるということはないです。
もちろん流行は毎年変わりますので、時期をずらすことは構いませんが、遅くとも12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいです。
(厚生労働省ホームページ参照)
ちなみに13歳未満のお子さんの場合は1シーズンに2回の接種が必要です。
1回接種より2回接種のほうがより抗体価が高くなることが確認されているためです。
早くから計画的に予防接種の予定を組むことをオススメします。
お子さん向けの予防接種についてはこちら
【WHOも推奨】子供のインフルエンザ予防接種の正しい受け方
まとめ
インフルエンザワクチンを10月から接種するのをオススメする理由は
- 効果が出るのに2週間かかる
- 流行開始がだいたい11月から始まる
- インフルエンザワクチンの効果は1シーズン続く
ためです。
まあ、特に遅らせる理由もないのでできるなら早めに打ったほうがお得ということですね。
新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスにも注意しなくてはならないシーズンだけにしっかりワクチン接種をして、ご自身だけでなく大切なご家族の命を守りましょう。
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