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審査報告書・RMPからみる「ソリクア配合注ソロスター」(インスリングラルギン/リキシセナチド)

審査報告書・RMPからみるソリクア配合注ソロスター糖尿病
審査報告書・RMPからみるソリクア配合注ソロスター
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このページの要点は以下のとおりです。

・ソリクアは基礎インスリンとGLP-1作動薬を配合することによって、空腹時血糖と食後血糖の両方をコントロール

・2剤配合による新たなリスクの懸念はなさそう

・ランタスXR注からの切り替え時は1日投与量を少なめに開始

 

今回は、2020年5月に薬価収載になったサノフィのソリクア配合注ソロスターについて解説します。

2種類の注射剤を混合したくすりですね。最近、この手の薬が増えてきてるような。

管理人
管理人

ですね~。

すでに、ノボさんからもゾルトファイ配合注フレックスタッチ(¥5359)が昨年発売になっていて、基本的には同じ特徴と考えてよいと思います。

価格的にはゾルトファイのほうが割安。

 

ちなみにゾルトファイは新薬14日制限がありますが、ソリクアは特に制限はありません。

それでは審査報告書・RMPを確認していきましょう。

 

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ソリクアの特徴

サノフィe-MR 医療関係者向け情報サイトより

 

ソリクア配合注ソロスターは、持効性インスリンアナログのランタス(インスリングラルギン)とGLP-1作動薬のリキシミア(リキシセナチド)の合剤です。

ソリクアのコンセプトは以下のとおりです。

2剤配合することによって空腹時血糖+食後血糖の両方を改善
 空腹時血糖⇒基礎インスリン(グラルギン:Gla)でコントロール
 食後血糖 ⇒GLP-1作動薬(リキシセナチド:Lixi)でコントロール

注射回数が少なくて済む

Lixiを細かく調整できるので胃腸障害のリスクが低減

Gla単剤時に懸念される低血糖や体重増加リスクが低減

 

なお、2020年3月時点でソリクアは海外で承認されていませんが、Gla/Lixi の配合比が3:1あるいは2:1製剤が欧米を含む60以上の国・地域で承認されています。

 

有効性

 

経口血糖降下薬で効果不十分な2型糖尿病患者を対象とした国内第III相試験(EFC14112試験)

対象:経口血糖降下薬による治療で十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者

デザイン:Lixiを対照とした無作為化非盲検並行群間比較試験

主要評価項目:ベースラインから投与26週時までのHbA1cの変化量

用法用量は、Gla/Lixi 5単位/5μgを開始用量とし、1週間後から空腹時血糖に基づいて(※)1日1回朝食前1時間以内に投与です。

※用量調節アルゴリズムはこのように行われています。

ソリクア 審査報告書P13

 

結果です。

ソリクア群のLixi群に対する優越性が示されました。

HbA1cを1%近く上乗せで低下させていますね。

インスリン製剤で効果不十分な2型糖尿病患者を対象とした国内第III相試験(EFC14113試験)

続いては、経口血糖降下薬と基礎インスリン併用で効果不十分な場合です。

対象:経口血糖降下薬と基礎インスリン製剤との併用療法で十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者

デザイン:Glaを対照とした無作為化非盲検並行群間比較試験(メトホルミン併用下)

主要評価項目:ベースラインから投与26週時までのHbA1cの変化量

 

結果です。

ソリクア審査報告書P19

ソリクア群のGla群に対する優越性が示されました。

こちらもHbA1cを0.7%近く上乗せで低下させています。

 

以上の結果から機構は、

・インスリン未治療の場合
経口血糖降下薬で効果不十分な2型糖尿病患者へのソリクアの上乗せ効果

・インスリン製剤使用している場合
経口血糖降下薬とインスリン製剤併用で効果不十分な2型糖尿病患者におけるインスリン製剤からの切り替え

の有効性は示されている、と評価しています。

 

安全性

RMPは以下のとおりです。

ソリクア RMP

 

胃腸障害

胃腸障害はGLP-1作動薬に特徴的な副作用ですが、ソリクア群ではLixi群と比較して発現頻度が20%程度少なく、投与中止に至った症例も少ない結果でした。

ソリクア群は用量が調節でき、増量のペースが緩やかです。そのため、固定用量で用いるLixi群に比べて胃腸障害が軽減されていると考えられています。

管理人
管理人

とはいえ、Gla群と比較するとソリクア群のほうが明らかに胃腸障害の頻度は高く、GLP-1作動薬の影響は無視できない副作用と思われます。

 

過敏症反応

注射部位反応・アレルギー反応に関連する事象の発現リスクが、Gla、Lixi製剤の投与時と比較してソリクア投与時に高くなる傾向は認められていません。

 

低血糖

スルホニアウレア剤(SU)を併用していた群で低血糖の発現が多い傾向が認められています。

Lixiの添付文書においても、Lixi製剤とSUを併用する場合は低血糖リスクが増加する可能性があることから、SUの減量を検討する等の注意喚起がなされています。

ソリクアについても、SUと併用する場合は低血糖の発現に特に注意する旨を添付文書に記載する必要がある、と記載されています。

膵炎

ソリクアの膵炎及び胆石症に関連する事象の発現リスクはLixiを上回ることはなさそうです。

Lixi製剤と同様に、膵炎及びそれに関連する事象についても、添付文書等により注意喚起することとなっています。

 

その他

Gla、Lixi製剤単剤と比較して、心血管系リスク、甲状腺に関連する事象の発現リスクの大きな懸念はないとされています。

用法・用量

投与タイミングは1日1回朝食前です。
臨床試験のスケジュールに由来しています。

配合比については、Lixiの最大量がリキスミアの1日最大投与量が20単位であること、Glaの最大量はランタス注の特定使用成績調査で94%が1日投与量20単位未満であったことに基づいています。

この配合比1:1製剤について、前述の臨床試験の結果から有効性・安全性が担保されたため、海外とは異なる配合比の製剤となっています。

ただし、ソリクアを最大用量(20 単位/20 µg)投与しても効果不十分な場合も一定数あると想定はされており、その場合は他の糖尿病治療薬での治療を検討する旨を注意喚起することが適切としています。

ランタスXR注300単位/mL製剤からの切り替え

インスリングラルギン製剤には製剤濃度が3倍の300単位/mL製剤(ランタスXR注)も存在するため、切り替え時には単位数の設定に注意が必要です。

ランタスXR注→ソリクアに変更する場合、通常初期用量は前治療の基礎インスリン製剤の1日投与量よりも低用量を目安として投与を開始すること、となっています。

低血糖の発現頻度が高まる、というのが理由です。

腎機能障害時の投与量

臨床試験では中等度以上の腎機能障害患者における投与経験は限られていますが、ソリクア投与時に腎機能障害が進行した患者で安全性のリスクが上昇する傾向は認められていません。

ただし、重度の腎機能障害患者に対する試験は行われていないため、RMPでは重大な不足情報となっています。

肝機能障害時の投与量

EFC14112 試験では、肝機能障害ありの被験者において、肝機能障害なしの被験者に比較して、胃腸障害の発現割合が高い傾向が認められたことが確認されていますが、明確な理由は不明です。

有害事象の重症度等を考慮すると、Gla、Lixi製剤単剤のリスクを上回るものではないと判断されており、特に用量調節は必要ありません。

まとめ

以上、ソリクア配合注ソロスターについてまとめました。

利便性を考えると一体型の製剤は今後も増えそうですね。

・ソリクアは基礎インスリンとGLP-1作動薬を配合することによって、空腹時血糖と食後血糖の両方をコントロール

・2剤配合による新たなリスクの懸念はなさそう

・ランタスXR注からの切り替え時は1日投与量を少なめに開始

 

新薬の勉強をするのに参考になる書籍です。添付文書について丁寧に解説されており、医薬品情報の知識を深めるにはおススメの一冊です。

新薬評価についての記事はこちら
薬剤師に必要なスキル~新薬を評価する方法~

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