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【GLP1ダイエット】痩せる!最安値!のキャッチコピーに注意

【GLP1ダイエット】痩せる!最安値!のキャッチコピーに注意糖尿病
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運動しなくても痩せられるならやってみようかな?

痩せる!最安値はここ!というキャッチコピーであふれるGLP-1ダイエット。

いわゆる「痩せ薬」と呼ばれるGLP-1作動薬ですが、安易に飛びついて大丈夫でしょうか?

管理人
管理人

気軽に始めるものではないですよ。この記事を読んでから考えてみてください。

 

このページの要点は以下のとおりです。

・海外ではGLP-1作動薬(サクセンダ)が肥満治療薬として承認されているものの、日本人では未承認(保険適応外)

・日本医師会、日本糖尿病学会がGLP-1ダイエットに強い懸念を示している

・日本人の有効性・安全性は現時点では不明

・自由診療中に万一、副作用で健康被害を被っても国からの保障が受けられない

 

[この記事を書いた人]

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりについて正しい情報を提供するように心がけています。

 

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GLP-1ダイエットとは?

GLP-1ダイエットとは、医薬品であるGLP-1作動薬を使用したダイエットのことです。

GLP-1作動薬は「もともとヒトの体に存在するGLP-1という酵素」をもとにつくられた薬です。

GLP-1はインクレチン模倣薬またはグルカゴン様ペプチド1アゴニストと呼ばれ 、2 型糖尿病治療薬として用いられています。
注射で服用しますが、インスリンではありません

GLP-1は血糖値が高くなると間接的にインスリン分泌を促進して血糖を下げたり、体重を減らす作用があります。

この体重を減らす効果を利用してダイエットに効くとしているわけです。

 

現在、医療用医薬品として使用できるGLP-1作動薬は注射薬タイプで
・ビクトーザ
・リキスミア
・バイエッタ
・ビデュリオン
・トルリシティ
オゼンピック

があります。
2020年6月には飲み薬タイプのリベルサスも承認されました。

いずれも糖尿病患者さんに使用する薬です。

管理人
管理人

GLP-1ダイエットに使用されている薬は保険適応となっていないので、全額自己負担です。
料金はおよそ月5~10万円が相場で、決して安くはないです。

 

なぜGLP-1作動薬で体重が減るのか?

GLP-1作動薬はなぜ体重を減らすのでしょうか?

それは胃から小腸への食物の移動を遅らせる作用があるためです。
その結果、「満腹感」をより早くより長く感じることができるため、食べる量が減ります。

また、食欲を抑制する効果も併せ持ちますので
ついつい食べ過ぎてしまったり、間食してしまう人にとってはある意味「理想のくすり」と言えるかもしれません。

しかし、この薬をダイエットに用いることにはいくつか問題点があります。

 

GLP-1ダイエットに対する批判

GLP-1作動薬は日本国内ではあくまでも2型糖尿病患者さんに対して保険適応となっている薬ですので、2型糖尿病ではない健常者に使用することは認められていません。

そのため、GLP-1ダイエットを自由診療として行っているクリニック等に対し、日本医師会が強い懸念を表明しています。

http://www.med.or.jp/nichiionline/article/009430.html

 

日本糖尿病学会からも以下のような見解が出されています。

今般、一部のクリニック等において、2 型糖尿病治療薬である GLP-1 受容体作動薬を、適応外使用である美容・痩身・ダイエット等を目的として自由診療での処方を宣伝する医療広告が散見されます。我が国において 2020 年 7 月時点で、一部の GLP-1 受容体作動薬については、健康障害リスクの高い肥満症患者に対する臨床試験が実施されていますが、その結果はまだ出ていません。したがって、2 型糖尿病治療以外を適応症として承認された GLP1 受容体作動薬は存在せず、美容・痩身・ダイエット等を目的とする適応外使用に関して、2 型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていません。
医師とくに本学会員においては、不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険を常に念頭に置き、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行ってください。また、特に本学会専門医による不適切な薬剤使用の推奨は、糖尿病専門医に対する国民の信頼を毀損するもので本学会として認められるものでないことを警告します。

一般社団法人 日本糖尿病学会 GLP-1 受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解 2020 年7月9日

 

管理人
管理人

GLP-1作動薬を健康な人へ投与することについては現在臨床試験を行っている段階であり、有効性・安全性は確認されていないこと。
一部の糖尿病専門医が不適切な使用を行っていることについて強い口調で怒っていることが分かりますね。

GLP-1ダイエットが勧められない理由

薬剤師の目からみて、GLP-1ダイエットが勧められない理由は2つあります。

①日本人での有効性が確立していない

実は、GLP-1作動薬は海外では肥満に対して使用することが可能になっています。

米国では2014年に、欧州では2015年にSaxenda(サクセンダ)という名前で承認されています。日本でも医療用医薬品として使用されているビクトーザ(リラグルチド)と同じ成分です。

サクセンダが使用できるのは、食事療法と運動療法により体重管理を行っている、BMIが30以上の成人または高血圧症、2型糖尿病、高コレステロール血症(脂質異常症)など、少なくとも1つの体重関連疾患を有するBMI27以上の成人、に限られます。

管理人
管理人

アメリカでもあくまでも「食事療法と運動療法により体重管理を行っている」人が前提ですよ~

 

肝心の効果ですが、

糖尿病を持たない患者さんを登録した臨床試験
・プラセボを投与した場合と比較して、1年後のベースラインから平均4.5%の体重減少
・5%体重減少した患者の割合は、プラセボを投与された患者で34%だったのに対し、サクセンダを投与された患者では62%だった

2型糖尿病患者を登録した臨床試験
・1年後にプラセボを投与した患者と比較して、ベースラインから平均3.7%の体重減少
・5%体重減少した患者の割合は、プラセボを投与された患者で16%だったのに対し、サクセンダを投与された患者では49%だった

となっています。(参考文献はこちら。)

ただし、これは欧米人を対象にした試験の結果であり、日本人での効果は不明です。

2型糖尿病に対して使用する投与方法とも異なります。

また、自由診療ではどんな方を対象に、どれくらいの量で薬の投与が行われているかもデータがないため不明ですし、欧米ではサクセンダを使用して16週時点で効果がない場合は中止しなければなりませんが、自由診療ではこういった規制も不明です。

管理人
管理人

そもそも米国は3人に1人が肥満であることが問題視されて承認になったという背景があります。
日本人にも当てはまるかどうかは臨床試験の結果が出るまでは分かりません。

 

②副作用救済制度が受けられない

医薬品医療機器総合機構HPより

副作用救済制度とは、薬の副作用で健康被害が起きた場合に、国が医療費や年金などの給付を行ってくれる公的な制度です。

医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を防げない場合があります。そこで、医薬品(病院・診療所で処方されたものの他、薬局等で購入したものも含みます)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度が、「医薬品副作用被害救済制度」です。暮らしに欠かせないお薬だから、いざというときのために、一般の方も、医療関係者の方にも、ぜひ知っておいてほしい制度です。

https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/general01.html 医薬品医療機器総合機構HPより

 申請の流れは以下のとおりで、患者さん本人が厚生労働省に申請します。

給付の請求は、健康被害を受けたご本人またはそのご遺族が直接PMDA(医薬品医療機器総合機構)に対して行います。その際に、医師の診断書や投薬・使用証明書、受診証明書などが必要となります。支給の可否は、厚生労働省が設置し外部有識者で構成される薬事・食品衛生審議会における審議を経て、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。

https://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/general03.html 医薬品医療機器総合機構HPより
医療機器総合機構HPより

 

しかしこの制度は保険診療の範囲内であれ適切に薬を使って副作用被害にあった場合というのが前提なので、自由診療ではこの制度を利用できない可能性が極めて高いです。

管理人
管理人

最安値というキャッチコピーに誘われ、結局高額な薬代を払ったうえに、副作用で健康被害が起きても保障はしてもらえないんです。トホホ。。

 

GLP-1作動薬にどんな副作用があるのかについては、

吐き気、下痢、便秘、嘔吐、食欲減退などの消化器症状
低血糖

が有名ですが、それ以外にも

甲状腺の腫瘍(甲状腺C細胞腫瘍)
膵炎
胆嚢疾患
腎障害
自殺願望
安静時心拍数の持続的な上昇

などがまだ良く分かっていないリスクとして挙げられています。

管理人
管理人

薬は臨床試験で効果と安全性が証明され、さらに規定された用法用量を守って使用されることで最大限の効果が得られるものであることをお忘れなく。

まとめ

いかがだったでしょうか?

欧米で使用されていて実績があるとはいえ、現時点でGLP-1ダイエットを自由診療で行うことは、まだリスクがあると言えます。

痩せたい、体重を減らしたいという願望は切実かもしれませんが、GLP-1ダイエットが話題になっているからといって、痩せる!副作用がない!最安値はココ!といったキャッチコピーに惑わされないようにしましょう。

サクセンダのところでも触れましたが、薬の位置づけはあくまでもオプションで、食事療法と運動療法により体重管理を行っていることが前提です。

GLP1ダイエットに取り組むなら、ズボラでも出来るリングフィットダイエットのほうがオススメです。

【関連記事】ズボラにピッタリ コスパ最強!リングフィットダイエットメニュー

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