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【危険なドグマチールの副作用】知らぬ間に・・パーキンソン病?

危険なドグマチールの副作用 知らぬ間にパーキンソン病?摂食嚥下
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ドグマチール®(スルピリド)という薬を聞いたことがありますか?

古くから使われている薬で、ちょくちょく処方される機会が多いお薬です。

そんなドグマチール®ですが実は副作用も多いので有名です。

つい先日ドグマチール®によるものと思われる副作用を経験しました。

ということで今回はドグマチール®の副作用を取り上げます。

知らぬ間にパーキンソン病になってしまうかもよ?というちょっと怖いお話をお届けしましょう。

【この記事を書いた人】

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療や薬についての正しい知識を提供するように心がけています。

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ドグマチール®ってどんな薬?

ドグマチール®添付文書より

ドグマチール®って不思議な薬です。

もともとは「胃・十二指腸潰瘍」の適応で承認され、その後「統合失調症」、「うつ病」にも適応を拡大しています。

胃薬でありかつ精神系の薬でもあるという2つの作用を持った薬はなかなか珍しいです。

ですが効果としてはどちらも中途半端です。

胃・十二指腸潰瘍に対する効果はドグマチール®が「交感神経を抑制」することから来ているのですが、現在は胃酸分泌抑制薬が主流ですので、ドグマチール®が第一選択となることはないです。

また統合失調症、うつ病に対する効果はドグマチール®が、少量で「ドパミンD2刺激作用」、高用量で「ドパミンD2遮断作用」を持つことから来ているのですが、統合失調症でもうつ病でも他の薬が主流なのでドグマチール®が第一選択になることはほとんどありません。

それなのにいまだにドグマチール®が処方されるのは、その中途半端さがちょうどよく、慣れない医師でも使いやすいからだと思われます。

ちょっと元気がないな~。うつ病かな?とりあえずドグマチール®試してみよう

みたいな気軽さが人気?の理由なのではないかと思うわけです。

ドグマチール®の副作用

ユニークな特徴を持つドグマチール®ですが、けっこう副作用が多いことでも有名です。

添付文書には

  • 高プロラクチン血症(乳汁が出る)
  • 眠気、めまい
  • QT延長(脈の異常)
  • パーキンソン症状
  • 血栓症

などの副作用が記載されています。

このうち私が経験したのがドグマチール®によるパーキンソン症状(パーキンソニズム)です。

パーキンソニズムは割と有名な副作用ではあるのですが、知らないと気づけない副作用でもあります。

ドグマチール®による薬剤性パーキンソニズム

薬剤性パーキンソニズムは文字どおり「薬によってパーキンソン症状が出現する」ことです。

パーキンソン症状の特徴と言えば4大徴候が有名です。

  • 動作緩慢(動きが悪くなる)
  • 筋強剛(筋肉がこわばり固くなる)
  • 振戦(手足が震える)
  • 姿勢保持障害(姿勢を保てなくなる)

こういった症状がパーキンソン病でもないのに薬を飲むことで出てきてしまうのが薬剤性パーキンソニズム。

薬剤性パーキンソニズムはさまざまな薬で起こり得ます。

  • 抗精神病薬、抗うつ薬(セレネース®、コントミン®、リスパダール®、デプロメール®、リーマス®など)
  • 抗てんかん薬(デパケン®、アレビアチン®、セルシン®、リボトリール®)
  • 認知症治療薬(アリセプト®)
  • その他(H1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬、ドグマチール®、カルシウム拮抗薬、プリンペラン®、ナウゼリン®など)

ドグマチール®はプリンペラン®やナウゼリン®、グラマリール®と同じベンザミド誘導体です。

ベンザミド誘導体は薬剤性パーキンソニズムの頻度がかなり高い薬の部類に入ります。

薬剤性パーキンソニズムになりやすいのは?

ではどんな人が薬の影響を受けやすいのでしょうか?

一般的には、

  • ドパミン遮断作用の強い薬を使ったとき
  • もともと脳の神経細胞に欠陥があるとき

とされています。(Nippon Rinsho Vol 76.Supple 4.2018)

ドパミン遮断作用が強い薬はさきほど挙げた薬です。

もともと脳の神経細胞に欠陥があるというのは、遺伝的な要素だったり、脳に外傷を負ったことがある、高齢者であるなどの要因が関係しているかもしれません。

また、高齢者や女性も症状が出やすいと言われていますが、これはパーキンソン病自体が高齢者や女性に多いことが原因であるともされています。

つまり、高齢者がドパミン遮断作用の強い薬を飲むということ自体が薬剤性パーキンソニズムを発症しやすい要因を複数持つということになるので、高齢者がドグマチール®を飲むときにはよほど注意したほうがいいということになります。

ドグマチール®と腎機能障害

さらに今回私が経験した症例は透析導入の一歩手前という段階で、かなり腎機能が悪い方でした。

ドグマチール®に関して言えば、クレアチニンクリアランス(腎臓の機能を表す数値)が10未満の場合には1日25mgと制限があります。(日本腎臓病薬物療法学会 腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧を参考)

本来25mg/日で十分なところ通常量で投与されてしまっており、薬が体内にかなり蓄積していることが考えられました。

ただでさえ高齢者は腎臓の機能が低下していますし、小柄な女性であればなおさらです。

このようにドグマチール®は高齢者では副作用が出やすい条件がそろってしまいやすいので、投与量が適切か、最近寝返りが打てなくなったとか歩きにくくなったとか、飲み込みが悪くなったというような徴候がないか注意しなくてはいけません。

薬剤性パーキンソニズムは薬を飲んでから比較的早く症状が出ますので、週単位、月単位でどんどん症状が悪くなっている場合は強く疑うきっかけになります。

今回私が経験した症例も、1か月前には普通に動けていたのにドグマチール®を飲み始めてから、どんどん動けなくなっていき、入院された時にはほぼ全介助が必要な状態でした。

薬をしっかり飲むことが逆にご自身を苦しめていたなんて悲しいですね。

この方は最終的には悪性症候群という診断でした(-_-;)

悪性症候群って何だっけ?という人はこちらをどうぞ。

【関連記事】【悪性症候群とは?】看護師も知っておきたいケアのポイント

まとめ

胃薬、抗うつ薬としてよく処方されるドグマチール®でパーキンソン病になってしまうかも?というお話でした。

特に高齢者の方、腎臓の機能が悪いと言われたことがある方は十分注意が必要なことが分かりましたね。

この副作用はもし出現したとしても、薬をやめれば徐々に元に戻っていくはずですので、気がついた時点でより早く中止する必要があります。

まずは気づくこと。

薬剤師はこのような症状の患者さんに遭遇したら、まっ先に薬の副作用を疑えるスキルを身につける必要があります。

改めてこのような気づきを与えてくれた患者さんに感謝したいと思います。

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