子供にはいつから打てるようになるのかな。
打った方がいいのか迷うわ。なんとなく副作用が心配よね。
大人へのワクチン接種が進んでいます。
海外ではいち早く子供への接種が開始になっていますが、日本でも2021年6月1日にファイザーのワクチンが12歳以上に接種できることになりました。
子供への接種は親としては非常に気になるところです。
コロナワクチンは子供に打つべきなのか?
副作用はどうなのか?
について解説します。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
コロナワクチンは子供に有効?安全性は?
2021年6月時点で日本で子供に打てるワクチンはファイザーだけです。
そもそもファイザーワクチンは子供にどれくらい有効なのでしょうか?
まずは12歳以上の子供への有効性をみてみましょう。
ファイザーワクチンの子供への有効性
12~15歳までの健康な子供を対象としたファイザーの臨床試験の結果が発表されています。
Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents
(PMID: 34043894)
ファイザーワクチンあるいはプラセボを2回接種後、少なくとも7日以内にCOVID-19に感染した人数を比較しています。
COVID-19に感染した人数は
プラセボでは978人中16人
実薬では1005人中0人
ファイザーワクチンの有効性はなんと100%と驚異的な結果です。
すでに分かっている大人への有効性は95%ですので、何ら遜色がないことが分かりますね。
それにしても相変わらずえげつない効果…
ファイザーワクチンの子供への安全性
ワクチン接種後の副作用である注射部位の痛み、倦怠感、悪寒、筋肉痛などの症状に関しては、高齢者より若い世代の人ほど起こりやすいことが分かっています。
この傾向は12~15歳も同様のようです。
こちらは12~15歳と16~25歳の副作用の頻度を比較したグラフです。
見にくいですが副作用のでかたは16~25歳とほぼ同じです。
特別12〜15歳に特徴的な副作用はありません。
ちなみに高齢者に比べると1~2割高めではあります。
解熱鎮痛剤を使用した人の割合も高齢者より多いです。
12歳未満への接種はいつから?
成人へのワクチン接種のスピードが予想以上になっています。
12歳以上の子供への接種はこの夏休みから可能になるかもしれません。
12歳以上、夏休み中接種を コロナワクチン巡り行革相 https://t.co/kPDM94GtFd
— 産経ニュース (@Sankei_news) June 20, 2021
「子どもたちや学生には夏休み中に打ってもらいたい」と述べた。ワクチンは米ファイザー製に続き、米モデルナ製も12歳以上に対象を拡大する方向で国内手続きが進んでいる。
一方12歳未満は海外で臨床試験(NCT04816643,NCT04796896)が進行中です。
2021年6月時点で治験参加者を集めている段階。
12歳未満の小児への結果が公表され、かつ日本で使えるようになるには少なくとも2022年以降になるでしょう。
心筋炎は?
心筋炎が16歳以上の若い男性に起きやすいのではないか?という懸念があります。
しかし現時点では因果関係ははっきりとしておらず、しかも全例軽い症状で済んでいることから、心筋炎がワクチンの副作用かどうかを判断するには時期尚早です。
心筋炎はコロナ感染後の後遺症でも起こることが報告されていますので、コロナに感染するリスクとワクチン接種のデメリットの両方を考える必要があるでしょう。
日本小児科学会の見解
12~15歳の子供へのコロナワクチン接種に対するデータは徐々に揃いつつありますが、一方で12歳未満の子供へのデータはまだ不足しています。
こうした現状を踏まえ、日本小児科学会は2021年6月16日に学会としての見解を公表しています。
新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~
要旨は以下のとおりです。
・子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン(以下、ワクチン)接種が重要です。
・重篤な基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の重症化を防ぐことが期待されます。
・健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(感染拡大予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。
日本小児科学会 新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~ より
まずは周囲の大人が接種する
子供を守るために最も優先すべきことは周囲の大人の接種です。
該当するのは以下に該当する方々。
障害児入所施設(医療型を含む)
児童発達支援センター(医療型含む)
児童発達支援
居宅訪問型児童発達支援
障害児相談支援
放課後等デイサービス
保育所等訪問支援
特別支援学校放課後等支援事業などの事業を実施している施設・団体の職員
在宅ケアを行なっている家族(12歳以上)
院内学級関係職員
医療機関におけるボランティア等
保育所(認可・認可外をとわず)、幼稚園、認定こども園、小・中学校、特別支援学校(高等部を含む)、留守家庭子ども会、学習塾、児童相談所一時保護所等の職員
子供たちと接する大人がまず自分自身にしっかり免疫をつけておき、子供たちへ感染させないようにする必要があるということですね。
基礎疾患のある子供は接種を検討する
神経疾患、慢性呼吸器疾患および免疫不全症などの基礎疾患がある子供はCOVID-19の重症化が報告されています。
対象年齢に達した子供たちには接種を検討することが望ましい、としています。
健康な子供への接種前は大人がよく説明を
子供は重症化しないからワクチンを打つ必要はない
という意見を聞きますが
日本小児科学会は12歳以上の子供には接種する意義があるというスタンスです。
理由は
コロナの影響で子供たちは様々な制限を受け、心身の健康への懸念がある
子供がコロナに感染した場合、多くは軽症だがまれに重症化することがある
同居する高齢者がいる場合には感染を広げる可能性がある
以上から接種のメリットがデメリットを上回ると判断しているためです。
日本小児科学会は接種に当たって、事前に子供たちに十分に情報を共有することも重要としています。
発熱や筋肉痛などの症状が数日出る可能性があることは子供たち自身が知っておかないと不安になるでしょうし、
ワクチンを打つか打たないかを選択することで周りからどう見られるか、という点も考慮する必要があります。
最終的には12歳以上の子供がいる親御さんがワクチンについてどう考えるかに委ねられるのかもしれませんが、
私からは迷ったときには信頼できる情報源に当たってもらいたいというのがお願いです。
まとめ
子供へのワクチン接種について分かっていることをまとめました。
12歳以上の子供へのワクチン接種は日本だけでなく海外でも推奨されており、たとえ心筋炎などの副作用があったとしてもデメリットよりもメリットが上回るという判断であることがお分かりいただけたと思います。
とはいえ12歳未満は無防備ですから、まずは周囲の大人がいち早く接種を終え、子供たちを守る壁を作りたいですね。
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