コロナワクチン打ったあとだんだん効果が落ちていくらしいね
せっかく2回接種したのに。3回目打つの嫌だな~
コロナワクチンの3回目追加接種について新たな動きが出始めています。
米ノババックス社製の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は、早ければ2022年初頭から約1年間で1億5000万回分の供給を受けることで、国内の生産、流通を担う武田薬品工業と契約。田村憲久厚労相が7日の閣議後の記者会見で明らかにしました。https://t.co/njB7Dw7mwP
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) September 7, 2021
なぜこんなに3回目接種が騒がれているかというと、コロナワクチン2回接種後に徐々に効果が低下する可能性が示唆されているからです。
3回目接種はいわゆるブースター接種と呼ばれ、コロナウイルスに対する免疫をより強固にする目的で行われます。
とはいえ2回接種するのも大変なのに3回目なんてまだ考えられない、という方も多いのではないでしょうか?
今回は
コロナワクチン2回接種は本当に不十分なのか?
3回目接種は急ぐべきなのか?
について解説します。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
「ファイザーワクチン2回接種後に抗体価低下」が意味すること
2021年8月25日、藤田医科大学から次のような研究結果が報告されました。
ファイザーワクチン2回接種後(1回目接種の3か月後)に測定した抗体価がピークの約1/4に低下していた、という内容です。
平均値(U/mL)を比較すると
接種前:0.1
1回目接種後14日:11.8
2回目接種後14日:245.4
1回目接種の3カ月後:65.9
この発表はSNS上でかなりざわついていました。
2回接種だけでは効果不十分なの??と不安を感じた人も多かったのではないでしょうか。
抗体価が低下する≠ワクチンの効果が低下する
かなり多くの方が誤解している点ですが
抗体価が低下したからといってワクチンの効果が低下するわけではありません。
さきほどの藤田医科大学の研究報告では終わりに以下のような文言があります。
ただし、ワクチンの効果は抗体産生だけでなく、細胞性免疫によるものもあります。抗体価の低下がどの程度ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果などの低下を示しているかは今後も研究が必要です。
藤田医科大学プレスリリース 2021/8/25 より
要は「抗体価がすべてではない」ということ。
ワクチンを打つことによって、我々の細胞はコロナウイルスの顔を記憶します。
いざコロナウイルスが体内に侵入した際に、細胞がうまく働いて立ち向かってくれればいいわけです。
実際、CDC(米国疾病予防センター)の報告によると、
ファイザーやモデルナワクチンを2回接種後にコロナウイルス感染症で入院する人を減らせるかを検証した結果、ワクチンの有効性は24週間低下しなかった
と記載されています。
抗体価は減少しているはずなのにワクチンの効果は落ちていないのです。
抗体価だけですべてが語れるわけではないのですね。
人間の細胞ってスゴい!
3回目接種すべきか?
日本ワクチン学会は現時点(2021年9月)での3回目接種について以下のようにコメントしています。
抗体価を高める、すなわち感染防御のための免疫力をより強く長く維持することを目的とする優れた接種方法の検討は、今後進められていくべきと思われます。しかしながら、国民に広く接種が行き渡っていない現状においては、まずは同一のワクチンを用いて2回の接種を対象となる希望者全員に対して可及的速やかに実施することが第一義と考えます。
新型コロナウイルスに対するワクチンに関連した日本ワクチン学会の見解 より
いまは3回目接種の議論よりも、いかに多くの国民に2回接種が行き渡らせるほうが大事ということですね。
もし3回目接種が行われるとするなら、1回目・2回目とは異なるワクチンを使用することも検討されていますし、免疫抑制剤など服用している方、抗がん剤治療をしている方、臓器移植された方など2回接種では不十分な可能性がある方を優先すべきという議論もあります。
また日本には国産ワクチンがなく、100%海外からの輸入に依存しています。
世界にはまだ十分にワクチンが行き届いていない国もあるなか、自分の国だけ3回接種というのは公衆衛生全体でみると好ましくありません。
まずはいまあるワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)を有効に使いながら
国産ワクチンの開発を進めるべき
というのが日本ワクチン学会の見解です。
まとめ
抗体価が下がったことに焦点がいきがちですが、大事なことはそれでワクチンの効果が低下したとは言えないということ。
実際2回接種でもワクチンの有効性は最低24週間は維持されています。
有効性はもしかしたらもう少し長く続くかもしれませんし、これ以上は続かないかもしれませんが、コロナを収束させるために我々ができることはワクチンを打ち、密を避け、基本的な感染対策を行うこと。
いずれ3回目接種が必要になるにせよ、いまは急がず、多くの人が2回接種を終えるのを待ちたいと思います。
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