コロナワクチンの2回目が予定通りに予約取れなかったよ
どれくらいずれても大丈夫なのかしら?
全国各地の自治体でコロナワクチン接種が始まっています。
ファイザーのワクチンは3週間隔で2回接種が必要なので、2回目の予約も取らないといけません。
規定通り2回目の予約が入れられた場合は良いですが、もしうまくスケジュールどおりに予約が入れられなかったら?
今回はコロナワクチン接種2回目のスケジュールについて解説します。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
ファイザーコロナワクチンは3週間あけて2回接種が必要
ファイザーのコロナワクチン(コミナティ筋注)は3週間隔で2回の接種が必要です。
そもそも1回だけではダメなのでしょうか?
コミナティ筋注の臨床試験の結果をみてみましょう。
抗体価
まずワクチンを打った後の抗体価です。
赤線のところを比較すると、
1回目の接種後21日目
14.4(55歳までの人)
12.0(65歳以上の人)
なのに対して、
2回目の接種後1か月
144(55歳までの人)
152(65歳以上の人)
と、およそ10倍に上昇しています。
発症予防効果
次にワクチン接種後の感染者数をみてみましょう。
2回接種では約95%の発症予防効果があるのに対して、1回接種だと52.4%にとどまっています。
言い換えると、95%の発症予防効果という意味は
本来なら100人が感染してしまうところ、5人しか感染しなかった
ということなので
コロナに感染して発症する確率を20分の1に低下させるということになります。
対して、50%の発症予防効果は
本来なら100人が感染してしまうところ、50人が感染しなかった
ということなので
コロナに感染して発症する確率を2分の1低下させるにすぎないということになります。
リスクを2分の1にすることもすごいことなのですが、20分の1にできるならそのほうが良いですよね?
変異株に対する効果は?
国内で流行する変異株について、ワクチンの効果でヒトで検証したデータはありませんが、実験室レベルでの研究結果が報告されています。
変異ウイルスにワクチンは効くの? 2021年5月12日https://t.co/S7nPajYzSl
— けんもう新型コロナ対策本部 (@kenmomd) May 13, 2021
横浜市立大学の研究グループがワクチンを2回接種した100人余りについて分析したところ、およそ9割の人は変異株に対して効果が期待できる抗体が体内に作られていた。 pic.twitter.com/QNh1SQ3WTh
従来株に比べて、1回接種後の有効率は落ちているように見えますが、変異株についても2回接種では従来株と遜色ない結果が得られています。
変異株だからといってワクチンの効果がなくなるわけではないということです。
以上をまとめると、
ファイザーのワクチンは1回接種では有効性は不十分で、2回接種で十分な効果が得られるということになります。
よほどのことがない限り、2回打っておきたいところです
2回目接種がスケジュールどおりにいかないとき
では、大事な2回目の予定がうまく3週間後にとれない時にはどうしたら良いでしょうか?
本来の予定の3週間目より前の場合と、後の場合に分けてみます。
3週間(21日目)より前の場合
CDC(米国疾病予防センター)によると、コミナティ筋注の臨床試験では、2回目の接種予定日を21日目とすると
17日目以降(17~20日目)までは有効とカウントした
とあります。
ソースはこちら。
一方、厚生労働省の資料によると、企業(ファイザー社)の見解としては21日目より前の許容期間は
19~20日目のみ
と主張されています。
以上から、予定日より前に打つなら厚労省の見解では2日前までですが、最大4日前までが限度と考えられます。
3週間(21日目)より後の場合
3週間より後のスケジュールについては、CDCの見解も、厚生労働省の資料も同じです。
臨床試験では42日目までの接種が許容されていました。
しかしながら、コミナティ筋注の承認審査をしたPMDAの見解は
24日以上に延長した場合の有効性は十分に確立していない
これは2回目接種を24日以降に延長した場合の有効性は73.3%と報告されているからです。(※1200名程度の症例数でしか検証されていない)
以上より、接種予定日より後に打つなら23日目までが目安。
最大42日目までが許容範囲。
ということになります。
とはいえ、予定接種日どおりに打つのに越したことはありませんので、一番早く都合がつけられる日程にするのが最善です。
結論:前でも後でも、なるべく21日目に近いタイミングで打つ!
(2021年6月13日追記)2回目接種は12週間後まで延長可能かも!?
ここにきてファイザーワクチンの2回目接種を3週後ではなく12週後に延長した場合の効果について検証した論文が発表になるかもしれません。
Extended interval BNT162b2 vaccination enhances peak antibody generation in older people (プレプリント:査読前の論文です)
この論文によると2回目接種を12週後に延長したほうが抗体価の上昇が著しかった、とあります。
この論文が正式に発表されると、投与間隔の延長に関して何かしらのコンセンサスが出るかもしれません。
まとめ
ファイザーワクチンの2回目接種がスケジュールどおりにいかない場合の猶予期間について解説しました。
2回目のスケジュールがずれたときの対応はまだデータが不十分です。
現時点で得られる情報が参考になれば幸いです。
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