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【2021年】イチョウの葉サプリと薬の飲み合わせは?

イチョウの葉サプリと薬の飲み合わせその他
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イチョウの葉が体にいいって効いたよ。血のめぐりがよくなって、頭が冴える効果があるんだよね。

今飲んでる薬と一緒に飲んでいいかな?

TV番組やネットで健康にいいとされているイチョウの葉エキス。

抗酸化作用、血液サラサラにする作用、炎症をおさえる作用、神経の伝達をスムーズにする作用などさまざまな効果が謳われています。

多くの方に使用されているイチョウの葉エキスですが、薬との飲み合わせに注意しなくてはいけない場合があることをご存知でしょうか?

健康食品、サプリメントだからといって安心してはいけません。

今回は

  • イチョウの葉エキスの効果
  • イチョウの葉エキスと薬との飲み合わせ

について、2021年版の情報をまとめました。

【この記事を書いた人】

管理人
管理人

病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。

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健康食品には法律上の定義がない

我々薬剤師が扱う「医薬品」は、国の厳しい審査を経て世の中に出てきます。

いわば国のお墨付きをもらっているということですが、

健康食品と呼ばれるものには法律上の定義がありません。

健康の保持増進に資するという目的で販売される食品であればなんでも健康食品になるというわけです。

健康食品には事前に国が審査を行う仕組みがないので、

そもそもヒトへの有効性が確認できていませんし、有効とされる成分の品質も保証されていません。

ですので健康に良いと効果を強調しているものの中に、怪しいものがあっても全然不思議じゃないんですね。

販売中止になった例・アガリクス

実際にヒトに有害な影響を与えるおそれがあるとして販売中止になった健康食品の1例を紹介します。

アガリクス(カワリハラタケ)です。

アガリクスは「抗がん効果がある」、「免疫力を高める」という謳い文句で販売されていましたが、

平成18年にラット(ネズミの一種)で試験を行ったところ、「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒(販売者:キリンウェルフーズ(株))」の 製品で、摂取目安量の約5倍から10倍程度の量を与えたところ、発がんを促進する作用が認められました。

これを受けて同製品は販売中止となっています。

ヒトへの実害は報告されていないものの、抗がん効果があると言われた健康食品に、実は逆の作用があったなんて信じられませんよね。

健康食品・サプリメントについての信頼できる情報源

健康食品やサプリメントの効能・効果、安全性はTVやCMで広告されている割に良くわかっていないことが多いです。

そのため信頼できる情報源に当たることが必要です。

現時点でもっとも信頼できるのは国立開発研究法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 です。

こちらの情報を参考に「イチョウの葉エキス」の効果、安全性について確認してみます。

イチョウの葉エキス・サプリメントの効果

循環器系

血圧、尿酸値、心血管疾患、末梢循環障害に対する効果を検証した質の高い5報の研究が紹介されています。

4報は効果なし

1報が血圧、尿酸値低下を認めた

脳・認知機能

認知機能や脳波への影響を検証した質の高い32報の研究が紹介されています。

おおまかに分類すると

11報は効果なし

16報が一部で効果ありだが、一部は効果なし

5報が効果あり

高齢者、若年者、認知機能低下患者に分けられて紹介されていますが、患者背景によって結果が変わるようなことはなさそうです。

統合失調症

統合失調症に対する効果を検証した質の高い4つの研究が紹介されています。

3報が一部で効果ありだが、一部は効果なし

1報が効果あり

その他

がんや筋肉・骨、抗がん剤の副作用効果軽減効果を期待した研究が行われているようですが、いずれも

効果なし

という結果です。

総合評価

ここまでの結果をふまえると、有効性に関してはかなり試験の結果にバラツキがあることが分かります。

正直言ってここまでバラツキがあると有効性があるとはとても言い難いです。

イチョウの葉エキスの効果は次のようにまとめられています。

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)

・イチョウ葉エキスの摂取で有効性が示唆されているのは、末梢の動脈閉鎖症の患者の歩行時の痛みの改善、脳血管性および混合型の痴呆、不安、月経前症候群に対する作用、糖尿病由来の網膜症における色認識の改善に対する作用である。

・加齢に伴う記憶障害、耳鳴り、抗うつ薬や化学療法の副作用軽減、高血圧、多発性硬化症、季節性うつに対しては効果がないことが示唆されている。

・心血管疾患にはおそらく効果がない。

「健康食品」の安全性・有効性情報 (nibiohn.go.jp)
管理人
管理人

あくまでも有効性が「示唆されている」だけであり、有効性があると言ってはいないことに注意しましょう。

イチョウの葉エキス・サプリメントの安全性

一般的には安全性は高そうですが、妊娠への影響が懸念されています。

・イチョウ葉エキスは、適切に摂取すればおそらく安全であるが、妊娠中の摂取は危険性が示唆されている。授乳中の安全性については十分なデータがないため使用を避ける。摂取により、ごくまれに胃や腸の不快感、頭痛、めまい、動悸、便秘、皮膚アレルギー反応などが起こる。

「健康食品」の安全性・有効性情報 (nibiohn.go.jp)

またイチョウの葉エキスと健康被害についての報告も紹介されています。

特にイチョウの葉エキスと出血との関連性は高く、頭蓋内出血出血時間が延長したという報告があります。 (PMID:16050865) 

またてんかん発作を起こす例も報告されているため

  • 抗血小板薬・抗凝固薬を用いている人
  • 外科的手術を予定している人
  • てんかん発作歴のある人やてんかんの人

はイチョウの葉エキスは避けた方が良いとされています。

医薬品との相互作用

イチョウの葉エキスと医薬品との相互作用については、症例報告や薬物動態試験の報告が紹介されています。

ヒトでの症例報告は

  • エファビレンツ(抗HIV薬)の濃度が減弱した(PMID:19451798)
  • 抗てんかん薬内服中に発作が再発した(PMID:11742783
  • イブプロフェン併用で脳出血で死亡(PMID:12818420
  • トラゾドン併用で眠気、ふらつき、その後昏睡(PMID:10836866
  • リスペリドン併用で疼痛を伴う持続勃起(PMID:17908535

といったものがあります。

CYP(薬の代謝酵素)の阻害・誘導いずれも関与していそうですがはっきり断定はされていません。

イチョウの葉エキスを飲んでいる場合、今飲んでいる薬は続けていて大丈夫なのか?という問いに対しての答えは難しいですが

私なら

管理人
管理人

今飲んでいる薬・治療を優先する必要がある人ならイチョウの葉エキスはやめるべき

と思います。

健康な人ならともかく、持病がある人が摂取する場合のメリットがなく、デメリットもそれなりにあるからです。

まとめ

イチョウの葉エキスに限らず健康食品・サプリメント全般的に言えることですが、この領域の情報は不足しており、今行っている治療に影響を与えるかどうかを判断することはなかなか難しいです。

健康な人が摂取する分には良くも悪くもあまり影響はなさそうですが、すでに薬で何らかの治療を行っている人の場合にはあまりメリットはなさそうです。

とはいえ優先すべきことが何なのかは個人によって異なりますので、くれぐれも最終判断は信頼できる情報源や、医師や薬剤師など専門家に相談されたうえで行うことをおすすめします。

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