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【不眠の患者へのアプローチ】薬剤師はどう関わるべきか?

睡眠
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睡眠薬飲んでも夜中2時に目が覚めちゃうんです。

先生に言ったら別の睡眠薬を追加してみましょうと言われました。

こうおっしゃる患者さんいませんか?

ベンゾジアゼピン系睡眠薬はなるべく減らそう!という世の流れになっているなか、いまだにベンゾジアゼピンは人気です。

このような患者さんに普段あなたはどう関わっていますか?

薬剤師として何ができるでしょうか?

今回は私が思う「不眠を訴える患者さんへのアプロ―チ」についてまとめます。

管理人
管理人

病院薬剤師です。睡眠医学や高齢者医療に興味があります。

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睡眠薬3剤飲んでも眠れない?

先日私が出会ったAさん(80歳代の男性)は、3つの睡眠薬(ベンゾジアゼピン系2剤+オレキシン受容体拮抗薬)を持って入院してきました。

ベンゾジアゼピン2剤飲んでも眠れなかったので、オレキシン受容体拮抗薬が追加になったのだそうです。

おそらくAさんの主治医は、Aさんの眠れないという訴えに対して睡眠薬の上乗せで解決しようとしたのでしょう。

それでもAさんは睡眠に満足はしていませんでした。

睡眠薬3つ飲んでも眠れないんだよ‥

とはいえ、薬剤師目線では「入院中はせん妄のリスクもあるしやめてほしい‥」「でも急に中断するのも危険‥」等々考えます。

最終的に主治医と相談した結果、今回の入院ではベンゾ1剤とオレキシン受容体拮抗薬1剤を継続とすることにしました。

睡眠薬の追加で問題は解決できない

そもそも睡眠薬を飲んで解決しない問題を別の睡眠薬を追加することで解決できるのでしょうか?

言わずもがな答えはNo.

眠れない本質に対してアプローチしていないからですね。

【関連記事】「眠れないから睡眠薬」がダメな理由

多くの医師が眠れない根本の理由を見て見ぬふりをして、眠剤処方に逃げた結果、今回のような処方になっていったわけです。

まあ忙しい外来でいちいち不眠の訴えを聞いていては仕事にならないという気持ちは分からなくはないですが、ベンゾにベンゾを重ねる処方はただその場しのぎの処方に過ぎないと思います。

不眠の訴えに対して薬剤師ができること

とにかく詳しく話を聞く

このような患者さんに我々薬剤師は何ができるのでしょうか?

まずは詳しく話を聞いてみることです。

Aさんの話を伺ったところ

睡眠薬は30年近く飲んでいる

夜9時に就寝。1時か2時に必ず起きてしまう

熟眠感が得られない

昼寝をしているわけではない

日中眠くて生活に支障が出ているわけではない

とのことでした。

管理人
管理人

あれ?5時間くらい寝てない??

そうなんです。

5時間は寝られてるんです。

このように寝ているはずなのに「眠れない」と訴える患者さんはいます。

ふだんの服薬指導でこういった情報の聞き取りって、けっこう大事だと思いませんか?

高齢者の睡眠時間は短いことを伝える

次にAさんには年齢と睡眠時間の関係についてお話ししました。

人間は歳をとるごとに睡眠時間が減っていきます。

2019年05月25日(土)の放送内容 | 健康ばんざい | NBS 長野放送 (nbs-tv.co.jp) より

例えば80歳のAさんでは5〜6時間が平均的です。

つまりAさんの睡眠時間は足りていると考えられます。

睡眠時間が確保できているなら、眠剤を増やす必要性はないですよね。

まずこれを説明したところ、Aさんの受け入れは良好でした。

睡眠衛生指導を行う

次に睡眠日誌をつけてもらうことにしました。

自分の睡眠状況を客観視してもらうためです。

睡眠日誌を2週間程度記録することで、自分のパターンがみえてきます。

https://www.suimin.net/topics/yamane/suiminnisshi.pdf

このようなツールを使ってかかりつけの主治医とお話しされてみてはどうですか?と提案しました。

また、Aさんの場合には9時就寝が早すぎるので、少しずつ就寝時間を遅らせてみませんか?ということもお話ししました。

その他、寝酒をしない、カフェインの入った飲み物は夕方以降避ける、日中に体を動かす等の睡眠衛生指導を行ってひとまず終了としました。

薬剤師は患者の意識を変えるきっかけになれる

入院中はベンゾ1剤とオレキシン受容体拮抗薬1剤で過ごしたAさん。

退院の際には「意外と何とかなるものですね」とおっしゃっていました。

ベンゾを1剤減らしてみても大丈夫だったことが自信につながったのかもしれません。

30年もの長い間ベンゾを服用していたので、今後どこまで薬が調整できるかは分かりませんが、少なくとも安易に眠剤を増やしても効果はないことは分かって頂けたのではないかと思っています。

「眠剤が絶対」と信じる患者さんは少なくありません。

実際に薬を減らすことができなかったとしても、薬剤師はその意識を少しでも変えるきっかけになれるかもしれません。

まずはじっくり患者さんの話を聞いてみることから始めてみませんか?

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睡眠日誌の記録方法、睡眠との関わり方についてもっと知りたいときはこちらがおすすめです。

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