デルタ株?何それ?若者には関係ないよ。
デルタ株って怖い・・。死んじゃうかもしれないんでしょ・・。ワクチン効くのかな?
コロナ新規陽性者が止まりません。
連日過去最高を記録する毎日・・
ホントに怖いですよね。
猛威を奮っているのはデルタ株ですが、あなたはデルタ株についてどこまでご存知ですか?
ワクチンは効くのでしょうか?効かないのでしょうか?
むやみやたらに怖がるのも、甘く見すぎるのもよくありません。
現時点で分かっているデルタ株についての正しい情報を整理してまとめます。
【この記事を書いた人】
病院薬剤師です。医療やくすりに関する正しい情報を提供するように心がけています。
そもそもデルタ株って何?
改めて解説するまでもないかもしれませんが、デルタ株は2019年に流行し始めたコロナウイルスが変異したものです。
現在世界で大流行しているコロナウイルスは2週間に1度のペースで新たな変異を獲得していると言われています。
そのほとんどはひっそりと収束していきますが、一部が猛威を奮っているというわけです。
それがいわゆるアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ株です。
これらはWHO(世界保健機関)が懸念する変異株(Variant of Concern:VOC)として警戒している株です。
これ以外にも今後の動向に注目すべき変異株(Variant of Interest:VOI)としてカッパ株もあります。
デルタ株の特徴~デルタ株がヤバいわけ~
国立感染症研究所の報告によると、2021年7月31日時点で過去4週間でデルタ株が75%流行している国はオーストラリア、バングラディシュ、ボツワナ、中国、デンマーク、インド、インドネシア、イスラエル、ポルトガル、ロシア、シンガポール、南アフリカ、英国などです。
日本は全国的にはここまでではありませんが、デルタ株の割合は日増しに多くなっています。
デルタ株でもっとも懸念されるのは感染力の強さです。
日本で第4波が起こった際に問題となったのはアルファ株でした。
アルファ株は従来のコロナウイルスに比べて感染力が1.32倍と言われていますが、デルタ株の感染力はアルファ株のさらに1.5倍高いと言われています。
感染力を表す指標として基本再生産数(1人の感染者から何人に移すか)があります。
従来のコロナウイルスは1.4~3.5人
デルタ株は5~9人
ものすごく感染力が高まっていることが分かりますね。
今までは感染者と一緒にいても感染を免れたケースもあったかもしれませんが、デルタ株の場合はまともな感染対策をしていなければほぼ感染してしまうと思ったほうが良いです。
ちなみにデルタ株は体内で増殖するウイルス量が従来のウイルスの1200倍も高いです。
それゆえPCR陽性になる期間も短い傾向です。
それくらいヤバいウイルスです。
デルタ株に感染するとどうなるの?
デルタ株に重症化リスクはあるのでしょうか。
デルタ株は従来のウイルスに比べて
入院するリスク 1.2倍
ICU(集中治療室)に入るリスク 2.87倍
死亡するリスク 1.37倍
に高まるという報告があります。
感染力が高いのに加えて、このような重症化するリスクも高いので非常にやっかいな変異株なのです。
デルタ株の脅威については、基礎疾患のない場合でも重症化する例があり感染症の専門家も警鐘を鳴らしています。
30〜50代で基礎疾患がない人の割と重いコロナの肺炎の人が増えてきました。
— Shungo Y@冬眠 (@bizarreID) August 10, 2021
デルタ株はこれまでとは感染力,重症化リスクが桁違いで,別のウイルスだと思った方がよいです。
今まで大丈夫だったから大丈夫とは限りません。 https://t.co/kBgnAWpuFl
「この何十年で最悪のウイルス」基礎疾患ナシでも重症化“デルタ株”猛威……最前線の医師「怖くなった」緊迫の病院内部に密着(日本テレビ系(NNN))#Yahooニュースhttps://t.co/kdzYYqOwxE
— 岡 秀昭 (感染症専門医) (@profidokamdphd) August 13, 2021
昨日まで普段通り過ごしていた人がある日突然入院。そのまま帰らぬ人に・・なんていうケースもあり得るのです。
デルタ株にワクチンは効くの?
デルタ株にワクチンが効くのか、効かないのかについては非常に気になるところです。
さまざまな情報が飛び交っていますが
2021年8月12日に世界の一流雑誌New England Journal of Medicineに掲載された報告によると
・従来のワクチンに比べて効果は若干落ちるものの、依然として高い効果は保持していた
・ただしアストラゼネカのワクチンはファイザーのワクチンより効果が劣っていた
という結果が記載されています。
十分な効果を得るには2回接種は必須ですが、ワクチンの効果がまったくなくなる訳ではないというのは救いですね。
モデルナワクチンもファイザーと同じmRNAワクチンですので同様の結果が期待されます。
コロナワクチンの効果については、実際日本でも同じような結果が報告され始めています。
和歌山県の出したデータによると感染者のほとんどはワクチン未接種のようです。
和歌山県でのデルタ株の流行状況も加味する必要はありますが、このようなデータは安心材料になりますね。
ワクチンをしていれば安心ではない
とはいえワクチンを打ったからといって安心してはいけません。
ブレークスルー感染といって、ワクチンを打った人に感染する事例もあります。
ワクチンの効果が100%ではないからです。
打ってもうまく抗体がつかない人もいますし、量が不十分な人もいるかもしれません。
接種後、徐々に効果が落ちてくるということもあります。
海外ではワクチンを打った後、マスクを外すことが認められた国もありますが、国内のデルタ株の流行状況を考えると、マスクなしで大丈夫とは決して言えません。
自分を守る意味でも、他人に感染させない意味でもワクチンだけでなくマスク、手指消毒による防御はするべきです。
私たちにできること
今後日本で重症化のメインになる年齢層は40~50代のワクチンを打っていない世代になっていくと思われます。
この世代は高齢者と比較して回復する体力がある反面、長期戦となる傾向があるからです。
その結果予想されることはベッドの回転率が低下し、次の重症化した患者が入れないという悪循環・・。
結果としてコロナ以外の病気で入院が必要な人のベッドが確保できなくなっていきます。
もしあなたやあなたの大事な家族が明日入院が必要な状況になっても、入院を受け入れてもらえないという現実がもう来ています。
できることはとにかくマスク、手洗い、人との接触を避けること、そしてワクチンを打つこと。
鼻が出た状態でマスクしていませんか?
マスクを触った手で食事していませんか?
ウレタンマスクは危ないことを知っていますか?
アクリル板に安心していませんか?
換気は十分にしていますか?
感染対策ってできているようで意外とできていないものです。
多くの芸能人が感染しているのもこうした基本が守られていないせいです。
自分を守るため、大切な家族を守るため、もう一度ご自身の感染対策を見直してみましょう。
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