高校生が投資!?
投資部っていう部活がある高校があるらしいの
いやはやスゴイ時代になったものです。
私が学生時代には投資なんて考えたことすらありませんでした。
この本はかつて「村上ファンド」を設立した投資家、村上世彰氏が高校生に行った講義の内容をまとめたものです。
2022年4月からは高校で投資の授業が始まります。
村上氏が若者に伝えたいことは何なのか?
いや、むしろお金や投資に関する教育を受けていない親世代こそ読むべき本かもしれません。
今回はこちらの本をレビューします。
高校に投資部!?
村上氏の講義を受けるのはN高投資部に所属する高校生。
N高ってどこかの高校を伏字にしたものかと思っていたんですが、実在するんですね。
この高校は角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校です。
N高の授業はコロナ流行前からすべてオンラインで、部活もeスポーツやプログラミングなどオンラインで行っています。
N高は高校生に向けた実践的な金融教育を行うため、2019年5月に村上氏を特別顧問としてN高投資部を設立。
生徒たちは村上財団から一人当たり20万円の運用資金を提供されて、実際の株式投資の運用を行っています。
まさにマンガ「インベスターZ」の世界が実現した形ですね。
若いうちに投資をすることのメリット
金融教育をまともに受けていないわれわれ親世代の人間は、家庭でお金の話をすることがタブーとされてきました。
なかなかお金の話を家庭でオープンにするのは抵抗がありますよね。
それゆえ日本人は金融リテラシーの低いまま大人になり、教育ローンを抱えたり、老後の貯蓄ができない人が多いと言われています。
村上氏は
- 大人になってお金で苦労しない
- お金と上手くつきあう
- お金に振り回されることなく豊かな人生を送る
ために若いうちに投資を経験することを勧めています。
投資をすることには以下のようなメリットがあるからです。
世の中の動きに興味がわく
社会の役に立つ
お金を増やせる
N高の生徒たちは実際の市場で投資するにあたり投資理由を明確にし、失敗した場合にはその理由と改善点を考えることを求められます。
時には企業のIR部門とコンタクトをとって情報収集することも。
彼らはこうした経験を積むことで社会と企業とのつながりを肌で感じ、自分の将来像を明確にイメージできるようになっていくのです。
投資をするうえで大事なポイント
村上氏は一貫して「お金は血液と同じで、循環しないと意味がない」と言っています。
お金が循環すれば経済は活性化する。日本人が投資をするようになれば日本経済は発展するはずだと。
村上流の投資でおさえるべきポイントは以下の3つ。
- 「投資の本質」をしっかり理解する
- 「期待値」を考えて投資判断をする
- 「リスク管理」を考えて投資する
投資スタイルでいうとバリュー株を狙うスタイルにあたります。
村上氏は高校生らにこのポイントをおさえるために必要な企業価値の判断のしかたを
PBR, PER, ROE, 四季報や決算書の読み方の講義を通じて分かりやすく解説してくれています。
本書の感想
いわゆるインデックス株の長期保有や複利の話は一切出てこないのは意外でしたが、
単に資産を増やすことが投資の本質ではない
ということはメッセージとしてしっかり伝わりました。
1年弱の生徒と村上氏のやり取りを終えて、N高の生徒たちが自分の将来のビジョンを明確に描けるようになっていることに驚きますし、そんな体験をした若者に羨ましさを覚えるのは私だけではないはず。
すでに投資を始めている人も、これから投資を始める人も村上氏の考える「投資の本質」は知っておいて損はないですよ。
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